第2624冊目 プロフェッショナルの条件―いかに成果をあげ、成長するか P・F. ドラッカー (著), Peter F. Drucker (原著), 上田 惇生 (翻訳)


  • 強みは何か


誰でも、自分の強みについてはよくわかっていると思っている。だが、たいていは間違っている。わかっているのは、せいぜい弱みである。それさえ間違っていることが多い。しかし何ごとかをなし遂げるのは、強みによってである。弱みによって何かを行うことはできない。できないことによて何かを行うことなど、とうていできない。


長い人類の歴史において、わずか数十年前までは、自らの強みを知っても意味がなかった。生まれながらにして、仕事は決まっていた。農民の子は農民となり、耕作ができなければ落伍するだけだった。職人の子も職人になるしかなかった。


今日では、選択の自由がある。したがって、自らの属する場所がどこであるかを知るために、自らの強みを知ることが不可欠となっている。強みを知る方法は一つしかない。フィードバック分析である。何かをすることに決めたならば、何を期待するかをただちに書きとめておく。九ヵ月後、一年後に、その期待と実際の結果を照合する。私自身、これを五〇年続けている。そのたびに驚かされている。これを行うならば、誰もが同じように驚かされる。


こうして二、三年のうちに、自らの強みが明らかになる。自らについて知るうることのうち、この強みこそもっとも重要である。さらに、自らが行っていることや行っていないことのうち、強みを発揮するうえで邪魔になっていることも明らかになる。それほど強みではないことも明らかになる。まったく強みのないこと、できないことも明らかになる。