第2625冊目 プロフェッショナルの条件―いかに成果をあげ、成長するか P・F. ドラッカー (著), Peter F. Drucker (原著), 上田 惇生 (翻訳)


  • フィードバック分析からわかること


フィードバック分析から、いくつかの行うべきことが明らかになる。第一は、明らかになった強みに集中することである。成果を生み出すものに集中することである。


第二は、その強みをさらに伸ばすことである。フィードバック分析は、伸ばすべき技能や新たに身につけるべき知識を明らかにする。更新すべき技能や知識を教える。同時に、自らの技能や知識の欠陥を教える。無能でない程度の技能や知識であれば、よほどのことがないかぎり、誰でも手に入れることができる。


第三は、無能の元凶ともいうべき知的な傲慢を正すことである。多くの人たち、特に一つのことに優れた人たちは他の分野を馬鹿にする。他の知識などなくとも十分とする。ところが、フィードバック分析は、仕事の失敗が、知っているべきことを知らなかったためであったり、専門以外の知識を軽視したためであったことを明らかにする。


第四は、自らの悪癖を改めることである。行っていること、あるいは行っていないことのうち、仕事ぶりを改善し成果をあげるうえで邪魔になっていることを改めなければならない。フィードバック分析では、それらが明らかになる。


第五は、人への対し方が悪くて、みすみす成果をあげられなくすることを避けることである。頭のよい人たち、特に若い人たちは、人への対し方が潤滑油であることを知らないことが多い。


第六は、行っても成果のあがらないことは行わないことである。フィードバック分析は、そのような無駄を明らかにする。いかなる能力が足りないかを明らかにする。人には、苦手なものはいくつもある。超一流の技能や知識をもつ者は少ない。そのくせ人には、並の才能や技能さえもちえない分野がたくさんある。そのような分野では、仕事を引き受けてはならに。


第七は、努力しても並にしかなれない分野に無駄な時間を使わないことである。強みに集中すべきである。無駄を並の水準にするには、一流を超一流にするよりも、はるかに多くのエネルギーを必要とする。しかるに、多くの人たち、組織、そして学校の先生方が、無能を並にすることに懸命になっている。資源にしても時間にしても、強みをもとに、スターを生むために使うべきである。