第2611冊目 FBI捜査官が教える「しぐさ」の心理学 ジョー ナヴァロ (著), マーヴィン カーリンズ (著), 西田 美緒子 (翻訳)


FBI捜査官が教える「しぐさ」の心理学 (河出文庫)

FBI捜査官が教える「しぐさ」の心理学 (河出文庫)


練習をすれば、作り笑いと本物の笑顔を見分けられるようになるのに時間はかからない。簡単に早く上達するためには、知っている人たちが気分に応じてどんなふうに挨拶しているか、よく観察することだ。たとえば、仕事上の知人がAさんを好きでBさんを嫌いなことを知っているとき、その人が主催した社内パーティーにAさんとBさんが招かれたら、入り口でそれぞれに挨拶しているときの顔をよく見てみよう。一瞬にして二種類の笑顔を見分けられるようになる!


作り笑いと本物の笑顔を見分けられるようになれば、相手が自分を「本心では」どう感じているかのバロメーターとして用い、それなりの対応をできるようになる。また二種類の笑顔を探すことによって、自分の考えや提案が聴き手にどう受け入れられているかを判断することもできる。提案に本物の笑顔が返ったきたら、どんどん先に進めてもよさそうだから、至急の「やること」リストに入れよう。返ってきたのが作り笑いなら、考え直すか、棚上げだ。


このような笑顔のバロメーターは、友人、配偶者、同僚、子ども、さらに上司が相手でも役に立つ。あらゆる種類、そしてあらゆる機会の人間関係で、相手が感じていることをはっきり伝えてくれる。


本物の笑顔は、主に二つの筋肉によって生まれる。口角から頬骨まで伸びている大頬骨筋と、目のまわりを囲んでいる眼輪筋だ。これらの筋肉が互いに結びついて働くと、両方の口角が上がり、目の周辺にしわができて、眼尻にしわの寄った親しみやすく誠実な笑顔になる。


作り笑いのときは、笑筋と呼ばれる筋肉が使われて、口角が横に広がる。左右の筋肉が同じように働いたとき、口角は横に引かれるが、本物の笑顔のように上には持ち上がらない。面白いことに、生後数週間の赤ちゃんはもう、母親に対して頬骨全体を使った笑顔で笑いかけるのに、そのほかの人には笑筋を使う。私たちが嬉しくないとき、大頬骨筋と眼輪筋の両方を使って満面の笑みを浮かべるのは無理だろう。心からにじみ出る感情がなければ、本物の笑顔を真似るのは難しい。