第2598冊目 FBI捜査官が教える「しぐさ」の心理学 ジョー ナヴァロ (著), マーヴィン カーリンズ (著), 西田 美緒子 (翻訳)


FBI捜査官が教える「しぐさ」の心理学 (河出文庫)

FBI捜査官が教える「しぐさ」の心理学 (河出文庫)

  • 重力に逆らう足


嬉しくて興奮しているとき、私たちは宙に浮いているような歩き方をする。いっしょにいることに夢中になっている恋人同士でや、テーマパークに入場したがっている子どもで、その様子を見ることができる。ワクワクしている人は重力を感じないらしい。こうした行動は見ればすぐわかり、毎日、いたるところにあるのに、人の目をすり抜けているように思われる。


人は何かに胸を躍らせたり、周囲の状況をとても心地よく感じたりすると、まるで重力に逆らうように爪先立ちをリズミカルに繰り返したり、飛び跳ねるように歩いたりする。これも大脳辺縁系の反応が、ノンバーバル行動に現れたものだ。


私は最近、立ったまま携帯電話で話している人を見たことがある。その人は最初、両足をきちんと平らに地につけて立っていたのだが、話しているうちに左足の位置が変化した。かかとを地面につけたまま、靴を持ち上げたので、爪先が上を向く形になったのだ。そんな行動には気付かないか、別に意味がないと思って無視する人が多いだろう。しかし観察の訓練を積めば、そうした重力に逆らう足を見て、電話をしている人が何か嬉しいことを聞いたばかりだとすぐに解読できる。実際、私が近くを通り過ぎると、「ほんとう? そりゃすごい!」という声が聞こえた。でもその足は、ひと足先に同じことを黙って伝えていた。