第2489冊目 人の印象は3メートルと30秒で決まる―自己演出で作るパーソナルブランド 江木 園貴 (著)


  • ロール・モデルを見つけなさい〜褒め上手になる〜


私は昔から母の教えで、「人のいいところを3つ探す」ことを常に心がけてきました。見た瞬間には人の性格まではわかりませんが、初対面30秒で、とにかく相手の好きなところを見つけるのです。


しっかり磨かれた靴を見て、「清潔感のある人だ」とか「細かいところまで気配りができる人だ」と判断したり、大きくて低い声の持ち主には、「器が備わっていてるのだな」と判断したり、流行のファッションを身につけている人には「いろんなアンテナを張って先端を行く人だな」と判断するわけです。


もちろん、実際の姿はそうではないこともあるでしょう。しかし、あえて自分から「好きなところ=好印象」を持つことで、一緒にいることが楽しくなるのです。たとえ第一印象がマイナス面が目立ったとしても、あえていいところを3つ挙げることで、空間を共有することが苦痛ではなくなります。


このことを応用して、ふだん接している取引先や社内の人にも、その人のよいところを3つ探してみてください。それを口に出して相手に伝えれば、さらに共有する空間は心地よいものとなります。例えば、「いつも素敵なネクタイをしていますね」とか「いつも電話の対応が気持ちよいですね」といった言葉です。


男性も女性も褒められて不快感を覚える人はいません。日本人は相手を褒めることに対して口下手な人が多いですが、好意を素直に伝えることは恥ずかしいことではありません。


人の3つのいいところは、まず外見から1つ、内面・性格から1つ、尊敬できるような分野から1つと考えていけば、必ず見つかります。いいところを見つければ、自分もまねしようと思う発見があったり、相手の得意な分野に比べて、自分の得意な分野はこちらだと自己認識できたりするのです。


私は新入社員のセミナーで、必ず、「同僚のなかに仲間を見つけなさい」ということ、「仲間や上司のなかで、ロール・モデル(特定の役割で模範となる人)を見つけなさい」と指導してます。仲間を作ることは、同じ会社=チームで働くのですから、助け合い、チーム力を向上させるためにも当然持つべき意識です。


「ロール・モデルを作る」といことは「将来のビジョン=なりたい自分」を明確にできることに繋がります。第一印象で「あの先輩の仕事ぶりを目指そう!」と思えても、半年、一年経つうちにモデルが変わる人もいるかもしれません。それでも、常に自分にとってのロール・モデルという存在があると、毎日に覇気が出ますので、周りにいる人のよいところを3つ探し、早いうちに目指す人を捉えてください。


よいところを見つけ出せる人は、「褒め上手」にもなるのです。みのもんた氏が番組ギャラリーの中高年女性を、「お嬢さん」と呼ぶのは見え透いていますが、不快に思う人がいないことは確かです。


女性は、「○○美人」と呼ばれればうれしいものですから、「笑顔美人」「性格美人」など相手のよい部分に「美人」という言葉をつけて褒めることが効果的と言えます。


女性営業マンが男性を褒めるのは、少し勇気がいるかもしれませんが、男性は日頃、褒められ慣れていませんから、何を言われてもうれしいはずです。しかも女性からの発言だと、照れながらも、素直にうれしさを表現できるでしょう。たとえ「営業トーク」と感じ取られても、決して不快感を与えることにはなりませんから、積極的によいところを探してください。