第2409冊目 「権力」を握る人の法則 ジェフリー・フェファー (著), 村井 章子 (翻訳)


「権力」を握る人の法則 (日経ビジネス人文庫)

「権力」を握る人の法則 (日経ビジネス人文庫)


たいていの人は、つまらなそうな仕事や地味な仕事にはやる気を起こさないし、興味を持たない。そういう仕事を率先して引き受け、人並み以上にうまくいってのければ、あなたにビッグチャンスが回ってきたときにケチをつける人はたぶんいないだろう。それに、たいてい重要そうでない仕事も、意外に将来の役に立つものである。


マイケルは、その典型例である。彼はビジネススクール在学中に、あるヘッジファンドから内定をもらった。夏休みにインターンとして働いて内定をもらい、その後学校に戻って過程を修了し、卒業後に正社員として入社する段取りである。インターンはマイケルの他に五人おあり、彼らは既卒者だったため、そのまま正社員として雇用された。となると「去る者は日々に疎し」というわけで、マイケルはスタートで出遅れてしまうと焦る。そこで学校に戻ってからも、できるだけヘッジファンドとの接触を絶やさないようにしようと心に決めた。そしてこまめにオフィスに顔を出し、将来の上司に同僚に挨拶し、顔を覚えてもらった。またその機会を利用して、自分にできることはないかと声をかけた。そうしているうちに、ジュニアアナリストの採用事務を手伝うようになる。証券会社や投資ファンドなどの金融サービス企業では、ジュニア職を常時採用している。二、三年働いてお金を貯め、その後ビジネススクールへ行ってMBAをとろうと考えて学部卒業生などがジュニアアナリストと雇われ、単調な仕事をこなすという仕組みである。ジュニア職とは言っても採用プロセスにはそれなりに時間がかかるため、シニアの連中はやりたがらない。ジュニアはすぐ辞めてしまうので、手間暇かける価値もないと考えるのだろう。