第2366冊目 ゴール―最速で成果が上がる21ステップ  ブライアン トレーシー (著), Brian Tracy (原著), 早野 依子 (翻訳)


ゴール―最速で成果が上がる21ステップ

ゴール―最速で成果が上がる21ステップ


人は生まれてからずっと、視覚化のパワーを使い続けています。ただ問題なのは、大半の人は視覚化を脈絡なしに行うので、時に自らの首を絞めてしまうのです。


視覚化のプロセスをコントロールし、自分が欲しいもの、なりたい姿に焦点を合わせられるようになりましょう。


米国初代大統領のジョージ・ワシントンは建国の父と歴史家たちから評されますが、生まれつき大物だったわけではありません。彼は貧しい家庭に生まれ、恵まれない環境で育ちました。早くから大志を抱いていた彼は、社会で受け入れられ成功するような人間性を形成しようと心に決めたのです。


ワシントン青年の指針となったのは、礼儀作法や物腰に関する130のルールを掲載した一冊の書物でした。彼はこの本を何度も繰り返し読んで、内容を頭にたたき込みました。そしてその後、人と接するたびに精いっぱい礼儀正しい態度を実践したのです。アメリカ独立戦争で重要な働きをするようになることには、彼は米国随一の上品で優雅な紳士として人目置かれる存在になっていきました。


もう一人の米国建国の父であり、億万長者になったベンジャミン・フランクリンは、優秀な政治家であり、外交官であり、発明家でしたが、そのスタートはフィラデルフィアの小さな印刷工場の見習いでした。思ったことをずけずけと口にする性質の彼は敵をつくりやすく、チャンスをつぶされたり足を引っぱられたりすることも一度や二度ではありませんでした。


ベンジャミン・フランクリンの自伝によれば、そんな青年期のある時点で、彼は自分の人間性や自らの成功のチャンスをつぶしかねないということに気づきました。そこで彼は、誠実さや思いやりや寛容さや正直さや真面目さといった美徳を、自分のなかに形成しようと決めました。自分の潜在能力を残さず開花させるには、それらが不可欠だと考えたのです。


ワシントンもフランクリンも、何年もの間せっせと視覚化に励みました。彼らは、自分が体現したい人物像を心に描きました。その人物がもっている特質を備えている自分の姿を視覚化したのです。彼らはたびたび、自分がどうふるまうべきかを知り、理想の人物と自分を合致させるには、この「内なる鏡」が不可欠だと述べています。こうした心の中のイメージは、やがて彼らの潜在意識に深く刻み込まれ、彼らはそのとおりの人物になったのです。