第2357冊目 カリスマは誰でもなれる オリビア・フォックス・カバン (著), 矢羽野 薫 (翻訳)


カリスマは誰でもなれる (ノンフィクション単行本)

カリスマは誰でもなれる (ノンフィクション単行本)


  • 危機的状況とカリスマ


不確かな状況やあいまいな場面、危機的状況では、カリスマがとりわけ効果的だ。「困難な状況で不安が大きいと、カリスマと見なされるリーダーはより高く評価される」と、バーバード大学心理学部のオマル・スルタン・ハケ教授は語る。


危機的状況のほうが、カリスマと見なされやすい。緊急事態に直面すると、人々はカリスマに飢えて、指導者の魅力に影響されやすいからだ。チャーチルはヨーロッパの国が次々と屈するなか、イギリスの士気を高めて国民に耐えさせた。ナポレオンは革命後の動揺するフランスを魅了した。ガンジーは、アイデンティティの危機の苦しむインドに明確な道を示した。危機に勇敢に立ち向かい、断固とした行動を取り人は、カリスマと見なされるだろう。


危機に直面したときこそ、カリスマを身につけるチャンスだ。この章では、危機的状況での正しい立ち居振る舞いを学ぶ。


1 落ち着きを維持する
カリスマ的な指導者の大半は、大混乱の最中も落ち着いている(あるいはそう見える)ことで知られている。不安は、自分がどのように感じ、どのように振る舞うかに影響を与え、周囲があなたをどのように感じ、どんな不安をするかを変える。そうした変化は、ボディランゲージにすぐ表れることが多い。


リーダーのボディランゲージは、普段から組織内に波及効果をもたらす。危機的状況ではこの効果が増幅される。危機的状況になるとリーダーに注目が集まり、そのすべての動きを人々は不安そうに見つめる。ストレス経路はつねに低度のの警告を発し、原始脳の機能が活発になって、人々はリーダーの言葉よりボディランゲージにはるかに強く反応する。ボディランゲージの「感情の伝染力」も、通常よりはるかに強くなる。リーダーの重要な仕事は、適切な精神状態を維持して適切なボディランゲージを広めることだ。冷静に保つために、あらゆる内面のツールを駆使しよう。とうに次のテクニックがおすすめだ。


・生理状態を頻繁にチェックする。これは自分のためであり(生理は心理に影響を及ぼす)、周囲のためでもある(感情は「伝染」する)。
・否定的な内面にうまく対処する。あなたの心に押し寄せる否定的な感情は恥ずかしいことではない。自分だけではないと考え、中和させる。
・現実を書き換える。悲観的な精神状態から抜け出すために、状況を前向きにとらえる新しい見方をいくつか考える。
・イメージを思い描いて適切な精神状態を維持する。たとえば、責任転換のテクニックは、不安を和らげるのに役立つ。


276ページの「途中で修正する」エクササイズを必要に応じて読み返す。危機的状況にも段階的に対処できるようになるだろう。小さな危機でできいるだけ多く練習を重ねれば、大きな危機に直面したときに第2の本能のように発揮できる。