第2355冊目 カリスマは誰でもなれる オリビア・フォックス・カバン (著), 矢羽野 薫 (翻訳)


カリスマは誰でもなれる (ノンフィクション単行本)

カリスマは誰でもなれる (ノンフィクション単行本)


間をおいて、息をして、ゆっくり3


プレゼンテーションを終えるときも、間をおくことは同じくらい重要だ。さっさと壇上から降りないこと。ガブリエル・フォーレが作曲した「シシリエンヌ」は、ゆっくりとした重苦しい曲だ。ある若い音楽家が次のように語っている。「いちばん最後、最後の音符のあとに間がある。あれがないと演奏が台無しになる。でも、うまくできると、聴衆はうっとりして、1分間誰ひとり身動きをしないときも多い」。最後の言葉の後に間を置いて、「ありがとうございました」と言ったら、そのまま、2、3秒間、拍手を浴びよう。


うまく間をおけないときは、原稿に色で指定するといい。私も人前で話すようになってから何年も、このテクニックを使っていた。青い棒が1本で1拍分、赤が2本で2拍分だ(間の長さによって色としるしを変えておくと、頭に血が上って冷静に考えられないときでも役に立つ)。


私はさらに、誠意を示したい部分に線を引き、笑顔になるタイミングを思い出せるようにする。これはとても効果がある。私のスピーチを聞いた人から、私が驚くくらい落ち着いていて、自然でのんびりしているように見えたと言われたのだ。


これらのテクニックは、ボランティアの集まりや地域の会合など、あまり重要度が高くない場面で試してみるといい。たとえば、学校の廊下が色あせていて、塗りなおせばいいのにと前から思っていたとしよう。あなたはPTAの会合で提案することにした。話をするのは数分間だが、出席者全員に集中して聞いてもらいたい。あなたにとって人生を変えるほどの問題ではないから、習ったばばかりのテクニックを試すいい機会になる。声を変動させ、戦略的に間をおき、イントネーションを抑えて説得力のある主張にしよう。