第2344冊目 カリスマは誰でもなれる オリビア・フォックス・カバン (著), 矢羽野 薫 (翻訳)


カリスマは誰でもなれる (ノンフィクション単行本)

カリスマは誰でもなれる (ノンフィクション単行本)


外交官として名高いベンジャミン・フランクリンは回想録で、苦い教訓を振り返っている。まだ若かったころ、彼は政敵の間違いを見つけた。彼は、その間違いを指摘して、疑いの余地なく間違っていることを証明するのは当然だと思った。そして自分の主張を通し――生涯の敵をつくることになった。フランクリンはこの経験から、長期的な後ろ向きの影響と引き換えにしてまで、自分が正しいという一時的な喜びを得ても仕方がないことに気がついた。以来、彼は「他人に反論する喜びを(自分に)禁じる」ことにした。そして、他人に反論することから始めるのではなく、「自分の意見が正しいケースや状況もあるが、今この状況は少し違うようだ」と観察することから始めるようになった。


人を批判するときに近道はない。正攻法で行こう。カリスマ的な話し手は、一緒にいる人に自信を持たせる。人々はあなたと一緒にいるときの自分が好きになり、あなたに会うのを待ち焦がれる。


ここでも重要なのはボディランゲージだ。あなたが相手は間違っていると思っていることは、あなたの表情や声のイントネーション、しぐさが、言葉と同じくらい雄弁に語る。したがって、落ち着きと善意を維持るうためのツールを総動員して、内面の状態を整えよう。それに合わせてボディランゲージも変わる。


難しいやりとりのあいだは、相手が自己防衛に走りそうな兆候に注意すること。彼らの表情やボディランゲージ、声のトーンなどからそういう気配を感じたら、あなたの中の誠意を呼び覚まし、彼らがより前向きな気持ちに戻れるようにする。これには2つのアプローチがある。


言語 肯定的な関連づけを促す。たとえば、相手が過去にうまくやったことや、今の状況であなたが賛同できる部分に言及する。
非言語 自分のボディランゲージで相手のボディランゲージに影響を与える。まず善意の精神状態になって、それが顔に表れるようにする。脳のミラーニューロンは、相手があなたの中に見た感情を真似るとともに、より前向きな精神状態をつくりだす。


やりとりの最後は、できれば前向きな発言で締めくくる。始まりと終わりがいかに重要かは、すでに説明したとおりだ。始まりや終わりが全体の雰囲気を決めることもある。そこで、締めくくるときは次の3点を意識しよう。


改善へのステップ 状況を改善するために必要なステップを検証する。とくに、あなたも一緒に取り組む改善策は詳しく確認する。建設的で前向きな動きだという印象を与える。
称賛 相手があなたのフィードバックをきちんと受け止めていること称賛する。どんなにささやかな努力でも、称賛することによって前向きに強化され、時間とともに改善することを伝える。
前向きの未来 あなたも相手も前を向けるような話をする。おもしろいイベントでも、これから始めるプロジェクトでも、2人のこれからの関係が楽しみだというメッセージを伝えられる話題を選ぶ。