第2313冊目 カリスマは誰でもなれる オリビア・フォックス・カバン (著), 矢羽野 薫 (翻訳)


カリスマは誰でもなれる (ノンフィクション単行本)

カリスマは誰でもなれる (ノンフィクション単行本)


私のあるクライアントは、プレッシャーを感じているときや、複数の依頼に対応しているときに、しばしば周囲を怒らせていた。誰かが彼のところに来て話を始めても、彼はそのときやっていることに意識が向いて、相手は軽視されたと感じていたのだ。


そこでプレゼンスを高めるために、意識を集中するエクササイズを実践したところ、彼は次のように言った。「ほんの一瞬でも完全なプレゼンスを示すことがいかに大切か、よくわかりました。これらのテクニックのおかげで、その瞬間その瞬間に集中しやすくなったんです。私のオフィスに来た人たちは、自分が特別な存在として大切にされていると感じながら帰っていきます」。彼にはほかにもさまざまなコーチングをしたが、このレッスンはとりわけ価値が高かったという。


プレゼンスを示す能力を伸ばすと、ボディランゲージや、人の話を聞くスキル、集中力が向上するだけでなく、人生をより楽しめるようになる。祝い事や、愛する人と質の高い時間を過ごすときなど、特別な場面にかぎって気が散るものだ。


瞑想の権威であるダラ・ブラシェにとって、プレゼンスの習得は生涯のテーマだ。彼女は次のように語っている。「私たちはつねに、いま起きていることや、次にやるべきことについて考えている。友人に会って抱擁しているときも、いつまで抱き合っているべきか、体を離したら何を言えばいいかと計算していて、再会の喜びも半滅する。ひとつひとつの行動を急ぎ、完全には集中していない」。しかし、いまこの瞬間に集中すれば、人生の素晴らしい瞬間を存分に感じて楽しめるだろう。


人と向き合いながら集中量を修正する3つのテクニックは、訓練を重ねることによって、まるで生まれつきの本能のような習慣になる。目の前の瞬間に集中すれば、より大きな影響力を持ち、相手に自分を印象づけ、地に足の着いた人と見なされる。つまり、カリスマの基礎を築くことができる。