第2304冊目 入社1年目の教科書 岩瀬 大輔 (著)


入社1年目の教科書

入社1年目の教科書

  • 脳に負荷をかけよ


英語の文法、数学の公式。


そんな細かいことを覚えてどうするんだという日本史の年号。


似たような名前つけないでくれよと言いたくなる世界史のカタカナ名詞。


大学受験のころを振り返ると、辛い思いをしながら必死に暗記し、眠い目をこすりながら数学の問題を解いていたと思います。こうした勉強をすることで、脳に負荷がかかっていたと思うのです。


負荷をかけることで勉強をしてきたことで、脳が強くなったと僕は思います。負荷をかけることでしか筋肉が強くならないように、僕たちの脳も負荷をかけてはじめて活性化するのです。社会人にとって、脳に負荷をかける勉強は「脳の筋トレ」になると考えて、ぜひ実践してください。


その際、どうしても気をつけてほしいことがあります。


自転車で坂道を登るとき、軽いギアで心地よく漕ぎきっても、足、腕、腹筋、背筋などの筋肉はまったく強くなりません。ギアを重くして、どこか「心地悪い」状態で必死に漕いではじめて、筋肉は強くなるのです。


脳に対する負荷も、強ければ強いほど効果的です。


たとえば、難解な理論書と格闘してみるのも一つの方法でしょう。社会人になると、よほど意識しない限り、頭が擦りきれるほど物事を考えるという場面がなくなっていくものです。


さらに言えば、読むだけでは脳に負荷がかかりません。読んで理解して、それを自分のビジネスにどのように生かせるかを徹底的に考えてください。


やっかいなのは、ビジネス書を読んだだけで勉強したと勘違いすることです。まったく脳に負荷はかかっていないと思って間違いないでしょう。


仮に1日1冊のハイーペースで読みきったとしても、もはやテレビを見ることと同義の「遊び」だと思ってください。


それならば、ケインズの「雇用・利子および貨幣の一般理論」をじっくり読んでみてはいかがでしょう。


受験生時代と同程度の負荷をかけるため、ぜひとも当時の苦しみを思い出してください。せっかく社会人になったのだから、暗黒の時代に逆戻りなんかしたくないなどと思わないでください。あせる必要はありません。じっくり継続して取り組んでいただきたいのです。


脳に負荷をかけて強い脳を作り、困難な問題に直面したときに自ら考え抜くことができれば、より早く成長することができるのです。