第2303冊目 入社1年目の教科書 岩瀬 大輔 (著)


入社1年目の教科書

入社1年目の教科書

  • 社会人の勉強は、アウトプットがゴール


たとえばマーケティングの本を読んだとします。


「ああ、勉強になったなあ」


そこで終わってしまっては、勉強した意味がありません。僕だったら、ライフネット生命にどう当てはめられるかという視点で読んでいきます。この部分はそのまま使える。この話はこう読み替えればいいのではないか。ビジネスパーソンの勉強は、必ずアウトプットに結びつけるべきだと僕は思っています。


「自分たちならどう行動すべきか」


「自分たちの事業だったら、どう判断すべきか」


教養として漫然と読むのではなく、常に「So what?」に落とし込むように読まなければならないのです。


「すべては、消費者のために。P&Gマーケティングで学んだこと」という本があります。P&Gの凄腕マーケッターだった和田浩子さんの著書です。和田さんは、オムツのパンパースや生理用ナプキンのウィスパー、掃除機のダイソンだとをヒットさせた方です。


ネット生保のマーティングを勉強しようと考えた僕は、書店に行って「ネットマーケティング」と分類された棚を探しました。何冊かパラパラめくってみましたが、僕に合う本は見つかりません。続いて「金融マーケティング」の棚に移動しました。やはりありません。


よく考えると、どんな業種でもマーケティングの本質は変わりません。ネットである必要も、金融である必要もないのです。書店をのぞきながらそう思い直したとき、たまたま出会ったのが和田さんの本でした。


P&Gでは、生理用ナプキンのウィスパーのサンプルを、小学校5年生ぐらいの女の子たちに配るというのです。実際に使う前から体験版として配布することで、その年代からブランドロイヤリティを作り上げていくという話が書かれていました。


なるほどと思った僕は、大学生に向けたライフネット生命の宣伝活動を展開しました。


一般的に、大学生は生命保険を買いません。そのため、新社会人になった途端、各社ともいっせいに営業活動を展開するのが慣例です。しかし、3年後、4年後には生命保険に加入することになるのですから、大学生のうちからライフネット生命というブランドを刷りこんでおこうと考えたのです。


普通に考えれば、オムツや生理用ナプキンは、生命保険とはまったく関係がありません。けれども僕は、その本を読みながら「ライフネットだったらこうだ、ライフネットだったらこうだ」と考えながら、応用の形を書き込んでいきました。


ビジネス書を読む行為は、著者との対話というよりも、一方的にこちらが考えるための素材だと僕は思っています。自分から乗り込んで宝探しをするよに読み込んでいくと、毎回違った発見があり、それをアウトプットに生かすことができるのです。