第2225冊目 入社1年目の教科書 岩瀬 大輔 (著)


入社1年目の教科書

入社1年目の教科書

  • 会議では新人でも必ず発言せよ


まだ職場やチームに馴染んでいないときに、会議で発言するのは勇気がいることだと思うかもしれません。発言しようと考えるあまり、先輩たちが交わしている議論がまったく耳に入らないこともあると思います。


僕もそうした時期を経てきわたけですから理解はできますが、そうは言っても会議に出席したら何らかの形で貢献するのが社会人のルールです。新人であることを理由にして、お客さん気分に浸っていてはいけません。


最初の会社に入社したばかりのころ、当時の上司にこんなことを言われました。


「お前たち新人は、どうすれば付加価値をつけられるか、よく考えてみろ」


分析力、問題解決能力などを先輩社員と競っても、現段階では勝てるはずがないのです。上司もそうした能力を求めているわけではありません。新人ならではの貢献をしてほしいのです。


その一つが、新鮮な目線です。


経験を重ねたベテランは、蓄積した経験知をもとに、目の前にある問題に対処します。これはできる、これはできるはずがない。判断と言えば聞こえはいいのですが、思い込みに陥ることも少なくありません。


そんなときが新人の出番です。思い込みのある率直な目線で見ることで、思わぬ解決策が生み出されることがあるのです。それこそが、何も知らない若者の付加価値のつけ方でないでしょうか。


当たり前のことを会議で発言したら、叱られるのではないか。そんな心配は無用です。現に、当時の僕の上司はそうした発言を求めていました。何も発言しないでただ座っている新人より、ずっと見込みがあります。


もう一つが、現場の感覚を伝えることです。つまり、情報は生の声を足で稼ぐのです。


優秀なベテランが、過去の経験と理論を背景に、様々な分析を施す。その結果に基づいて方針が決定される。しかし、あなたが足しげく現場に通って、50人の顧客から仕入れた情報が、その方針と正反対だったらどうでしょうか。


過去は過去。現在進行している職場の生の情報のほうが、判断材料としては貴重なのです。それをできるのは若手の特権です。


もしそれでも何もできないというのなら、率先してコピーを取りに走りましょう。お茶を片付けましょう。議事録をつけましょう。


あなたも、れっきとしたチームの一員です。新人、若手というポジションにいるからこそできる形で、チームに貢献することを心掛けてください。