第2204冊目 写真で学ぶ拘縮予防・改善のための介護 田中 義行 (著)


写真で学ぶ拘縮予防・改善のための介護

写真で学ぶ拘縮予防・改善のための介護

  • 連携していくうえで大切なことは


よく研修会やセミナーの依頼を受けます。筆者がよくいただく依頼として、拘縮予防、介護技術、認知症ケア・リハビリテーション、最近ではケアマネジャーや相談員など他職種に知っておいてほしいリハビリテーションの知識、特別養護老人ホーム通所介護に勤務する機能訓練指導員のための研修、などです。


どの研修やセミナーを行っていても思うのですが、私たちの仕事は「連携」なくしては成り立ちません。最近は制度改正のたびに、さまざまな場面での「連携」が重要視されています。


「連携」の必要性・重要性が注目されるのはとても素晴らしいことなのですが、現実にはどうでしょう。しっかりと機能できている場面を見る機会のほうが少ないし、悩まれているケアマネジャーや各事業所、専門職の方々はまだまだ多いのが現状なのではないでしょうか。たとえ事業所内ではうまく連携が行えていたとしても、他事業所との連携に問題が起きていることも少なからずあるのではないでしょうか。


連携を行っていくということは、他職種もしくは同じ職種でも他の人たちと協力し合っていくわけですから、どんなに自信があったとしても自分の価値基準や判断基準だけで物事を進めていくわけにはいきません。


実際にはいろいろな対応方法、いろいろな考え方があります。また価値観もあります。当然のことなのですが「これが絶対的に正しい」なんてものはありません。


哲学者フッサールが提唱した「現象学」の考えを借りれば、「絶対的に正しいものはない。だからこそ『なんでもあり』にならないようにしなければならない。多くの人が『ある程度納得できる』落とし穴を探すことが重要」というのが最も適した考えなのではないかと思います。その「落とし穴」を探していくためには、やはりアセスメントが重要になり、そのアセスメントを下支えするために「知識」が必要になるのだろうと思います。


では、どのような知識が特に重要になるのでしょう。さまざまな専門職がかかわると思いますが、介護保険分野に特化した考えた時は、支援の対象者が「障がいをもっている」「高齢者が多い」ことが多いと思います。そこで、「障がい」とは何か、「高齢化」とは何かを適切に理解する必要があるのではないか