第2138冊目 できる人の仕事のしかた リチャード・テンプラー (著)


できる人の仕事のしかた

できる人の仕事のしかた

  • 直属の上司の評判を高める


上司の評判がよければ、部署全体の評判もよくなる。部署全体の評判がよくなれば、あなたにとってもプラスになる。このルールの理由は説明するまでもないはずだが、上司の陰口を言う人、上司に盾つく人は後を絶たない。


たしかにあなたの上司は使えないのかもしれない。ビジネスの勘がまるでなく、難しい性格で高圧的、コミュニケーション能力がゼロなのかもしれない。マネジメントというものをまったく分かっていなくて、威厳も尊厳も才能もなく、人付き合いも下手なのだろう。


しかし、もしこのすべてが当てはまるような上司だったら、そんな人こそイメージアップが必要だ。あなたが全力で助けなければならない。


実際には、ここまでひどい上司はめったにいないが、完全無欠の上司というのもめったに存在しない。そもそも、上司の実際の能力はここでは関係ない。ただ、上司ができる存在に見えれば、部下のあなたにとってもプラスにしかならない。そして、上司をよく見せようとする努力は、いずれ必ず気づいてもらえる。


上司がいないところでも気を抜いてはいけない。いつでも上司の手柄を賞賛し、いいところを指摘するようにする。そうすれば、上司がいるところでほめるより、ずっと大きいな効果がある。それを聞いた他の幹部が感心し、あなたが言ったことを伝えるからだ。


「費用が予算内に収まったのも、すべてうちの上司のおかげだ」「うちの上司があの大きな取引をまとめたんだ」「うちの部署のプレゼンがうまくいったのも、上司の励ましが自信につながったからだ」というあなたの言葉はいずれ本人に伝える。


それに、忠誠心は伝染するものだ。部署の結束は固くなる。会社の上層部は、この種の忠誠心が大好きだ。しかし、上司が完全な失敗をしたときでも、嘘をついてほめなければならないことはない。そんなときは、何も言わず黙っているのが得策だ。


チームとして働いているからには、同僚と上司について正直に話すことが必要なときもある。しかし、上司についてネガティブなことを言うなら、絶対に言う必要のある内容だけにとどめて、公正に、完全に客観的な視点から指摘すること。非難めいた口ぶりで言うのではなく、淡々と事実を指摘するように話すという努力が必要だ。