第2125冊目 「権力」を握る人の法則 ジェフリー・フェファー (著), 村井 章子 (翻訳)


「権力」を握る人の法則

「権力」を握る人の法則



ほとんどの人は誉め言葉の威力を過小評価しており、したがって十分に使いこなしていない。彼かがあなたを誉めたとしおう。そのときのあなたのリアクションは、大きく分けて二通りある。一つは、「こいつは心にもないお世辞を言っている」という反応である。それどころか、お世辞を言って自分にネガティブな感情を抱き、誉められても心が動かないだろう。それどころか自分に取り入ろうとしていると判断した場合、「これほど見え透いた手で私を丸め込めると思っているのか? 私はそんなに甘く見られているのか?」と自分自身に対するネガティブな感情につながりかねない。もう一つは、誉め言葉を心からのものdさとありがたく受け取る反応である。この場合には、誉め上手な相手の対人スキルに好感を抱き、また誉められた自分を誇らしく感じる。そして人間はそもそも誉められたいものだから、ほとんどの場合に誉め言葉を額面通りに受け取り、誉めてくれた相手に好感を抱く。したがって、誉め言葉を出し惜しみしてはいけない。カリフォルニア大学バークレー校教授のジェニファー・チャットマンは、未発表の研究の中で、誉め言葉が効果を失う限界点がどこかにあるのではないかと推測している。チャットマンの仮定では、誉め言葉をグラフ化すると逆U字型になるという。すなわち誉め言葉の効果は始めは急激に高まるが、だんだんゆるやかになり、ある点を超えると(誉めすぎると)効果が薄れ、単なる媚びへつらいと受け取られてしまう。どこかにその限界点があるはずだが、データからはどこと特定することはできなかった、とチャップマンは話している。