第2126冊目 「権力」を握る人の法則 ジェフリー・フェファー (著), 村井 章子 (翻訳)


「権力」を握る人の法則

「権力」を握る人の法則

  • 大事なのは臆することなく主役としてふるまい、自らの力を誇示することだと察知する。それを実践して編集長に昇格し、いまやリーダーシップに関する本や評伝を自ら書くようになった。ルービンは、話し方やふるまいや外見によって力を誇示できるかどうかは、就職活動から契約交渉、記者発表にいたるまで、あらゆる場面でモノを言うのである。


大手スーパー、サムズクラブやウォルマートの採用担当者も、同じことを言っている。


「自信にあふれる態度の学生も少しはいますが、大半の学生はナーバスになっています。私が好感を抱くのは、こちらの目を見てモノを言い、自分の言葉で話せる学生ですね。目をそらしたり、口ごもったり、自分のことをうまく説明できないような学生は採りません」


研究者の間では、人事選抜の方法として面接の信頼度は低いというのが定説になっているが、ほとんどの企業が面接を実施している。そして、「どんな印象を面接菅に与えるか」で採用が決まってしまう。就職という人生の一大事が外見や演出で決まるのはどう考えてもおかしいが、世の中は正しいことばかりではない。うまく切り抜けるためには、力強く自信ありげにふるまうコツを身につける必要がある。


その典型例と言えるのが、「編集者のアトーサ・ルビンシュタインである。彼女は一九九三年に女性向けファション誌「コスモ歩タリン」で、アシスタントとしてキャリアをスタートさせた。そして、五年間で主任に昇進。ハースト・マガジンの社長キャスリーン・ブラックの後ろ盾もあって、若年層向け「コスモガール」を一九九九年に創刊し、二六歳にして編集長となる。一〇〇年以上におよぶハースト・コーポレーションの歴史の中でも、最年少の編集長である。二〇〇四年にはコロンビア大学の「最も確約している歴代卒業者トップ二五〇」に選ばれるなど、知名度は高い。ルビンシュタインによれば、若くして成功したのはイメージ戦略が成功してからだという。自身が近しい人にこう話している。


「私は、女優なの。ビジネスをするときの私は、女優としてふるまっている。たいして才能はないけれど、自分の役割を演じきる自信はあるは。周囲が期待するファッションに身を包んで、期待通りの役割を演じる。ポニー(「コスモポリタン」誌の編集長)はファッショナブルな編集者が好きだから、私は髪型も服装も変えて、エキゾチックなイメージを演出した。おかげで、本来は黒子であるはずの私が自ら雑誌の中に登場するようになった。すると今度はキャシー(ハースト・マガジン社の社長)が、私を「コスモポリタン」の代表として、あちこちのイベントやパーティーに送り込んでくれたというわけ」