第2072冊目 FBI捜査官が教える「しぐさ」の心理学 ジョー ナヴァロ (著), マーヴィン カーリンズ (著), 西田 美緒子 (翻訳)


FBI捜査官が教える「しぐさ」の心理学 (河出文庫)

FBI捜査官が教える「しぐさ」の心理学 (河出文庫)

  • 首を使うなだめ行動


首に触れる、首を撫でるというしぐさは、人がストレスに反応するときによく現れる、最も重要ななだめ行動のひとつだ。首の後ろ側を指でマッサージする人もいれば、首の横をさすったり、顎のすぐ下に手をやって、首についた肉をグッと引っぱったりする人もいる。このあたりには迷走神経が豊富にあるので、撫でると血圧が下がり心拍数も下がって、気持ちが安らぐ。


数十年にわたってノンバーバル行動を学んできた私の経験では、首を使うなだめ行動には男女の差がある。通常は男性のほうが力強く、手のひらで顎の下をつかんで、首の神経(具体的には迷走神経と頸動脈洞)を刺激する。それは心拍数を下げて気分を穏やかにする効果がある。また、首の横や後ろを指でこすることや、ネクタイやワイシャツの襟を直すこともある。


女性の場合はまた違う。たとえば女性がネックレスをしているなら、首でなだめ行動をするにはそれを触ったりねじったりして、いじることがある。またすでに述べているように、喉もとにあるくぼみを手で覆い隠すこともある。女性がストレスや不安、脅威、恐怖、不快、心配を感じると、この部分を手で触れたり覆ったりする。面白いことに妊婦の場合は、はじめに手が首に向かって動こうものの、やがて行き先が変わり、最後には胎児をかばうかのように腹部を覆う。