第2056冊目 “司法試験流” 勉強のセオリー 伊藤 真 (著)


“司法試験流

“司法試験流"勉強のセオリー (NHK出版新書)

  • 寝る前から一日は始まる


それから一日の計画は、前の日に立てるといいでしょう。私の場合、夜の講義を終えて会社の仕事部屋に戻るのがだいたい夜の一一時過ぎ。そこから、翌日やるべきことを考えながら必ず書き出しておきます。「寝る前から一日は始まる」ということを常に意識しています。


つまり、自分は翌日どんなことをやるのか、イメージトレーニングをしておくということです。朝起きて、そこで初めて予定を確認したことで、「あーっ、時間がない!」という事態に陥らないように、優先順位を考え、何を選択すればベストなのかを考えておく。翌日の予定によっては、その日中に事前準備しておかなければいけないものもあるでしょう。少なくとも寝る前に確認しておけば、場合によっては間に合わせることが可能となります。つまり私は、寝る時間自体も調整の時間として使っているのです。ただ、それだと睡眠時間が少なくなってしまいますから、逆に、睡眠時間をいかに短くすごせるようにするか、睡眠時間が短くしても生きていられるようにするか、ということを受験の頃からすいずん考えてきました。先にも触れましたが、その頃の私の勉強時間は二〇時間くらいで、そのほかにも夜警のバイトをしていましたから寝る時間は本当にありませんでした。そのころから、いまだに四時間寝ればずいぶん寝たなという感じです。だいたい、通常だと明け方の四時に寝て七時ぐらいに起きるのですが、寝るときには、「ああ、七時まで寝られる。幸せだ」と思えるんです。


このように、ベッドの上で寝るのは三時間ほどですが、あとは細切れに睡眠をとる工夫をしています。ずっとこういう生活をしてきたので、移動中にほんのちょっと寝る、歩きながら寝るとか、しゃべりながら寝るということもできるようになりました。


聞くところによると、勉強や仕事の疲れというのは、大脳資質の外側が疲れている状態らしく、これはほんの数分の睡眠でも取れるらしいのです。時には机の上に突っ伏して二、三分寝る。それだけで疲れが取れて気分もすっきりします。


それに対して、きとんと寝ないと駄目な疲れというものがあります。それは大脳の古い皮質の疲れからくるもので、いわゆるストレスや精神的な悩みが原因です。これは、しっかり寝ないと壊れてしまいますから、そもそも、ストレスを溜めない生き方をすることは非常に重要です。第6章で詳しくお話しますが、私はストレスのコントロールができるようになる訓練を一生懸命やりました。そうすることで、深い眠りもいらなくなったんです。