第2108冊目 世界中のエリートの働き方を1冊にまとめてみた: グローバルエリートは見た!投資銀行、コンサル、資産運用会社、プライベート・エクイティ、MBAで学んだ15の仕事の極意、そしてプライベートの真実  ムーギー・キム (著)


  • ノンバーバル・コミュニケーションを極める――商談や語学上達に必須の身振り手振り、足の組み方


「目は口ほどにモノをいう」というが、自分の右目で相手の右目を見たほうが口以上にモノを語り、身振り手振りや服装、足の組み方が口ほどにモノをいうのをご存じだろうか。


「話す時の腕の位置やてのひらの方向、声の質で、親近感や信頼感は大きく変わる」と、コミュニケーションとリーダーシップが専門のMBAの教授も話していた。


これには科学的な裏付けもあり、姿勢ひとつで肺の空気容量や呼吸法が変わったり、体内の酸素濃度に変化が起きたりするので、落ち着き具合や声のトーン、声質も実際に変わってくるのだという。とりわけ英語ではジェスチャーで言語のビジュアル化をはかり、適切なタイミングで抑揚をつけて「間」をとらないと、正確に伝わらないのだ。


実際に欧米のトップエリートのプレゼンを見ると、「明日からアメリカ大統領になれるのでは」と思うほど、アイコンタクトとジェスチャー腹式呼吸を駆使して雄弁に話す。また、体全体を使って、誠実に話を聞いているそぶりをする。


資金調達のミーティングでは、皆が前傾姿勢で手を重ね合わせ、体を前に乗り出しながら話をするのが基本になっている(誠実で一生懸命な印象を与えるため」。たまに後ろにふんぞり返って足を組みながら「100億円を出してくれ」という人がいるが、「欧米のカジュアルカルチャーでも、さすがにそれではお金は集められんやろ」と失笑してしまう。


ノンバーバル・コミュニケーションはボディランゲージに限定されない。ミーティング中のクライアントに資料を追加で渡すときには、テーブルを挟んで片手で渡すのではなく、立ち上がって椅子の傍らまで行き、微笑みながら両手で渡すという作法もある。


これら「ノンバーバル」要素をマスターすることは、語学の上達にも必要不可欠だ。


話す言語によって、喉や胸を使う部分が違ってくるので、結果的に出す声のトーンも異なる。アメリカ人が話すときの身振り手振りが大げさだとかいかぶる人もいるが、あの身振り手振りをしてこそアメリカ英語に適した呼吸と声の質になるという合理性があるのだ。実際に帰国子女の友人に英語と日本語でスピーチしてもらうと、日本語では仏像並みに動きがなかったのが、英語になるとオーケストラの指揮者もびっくりの大暴れっぷりだった。


人類の長い歴史の中で、我々の祖先は言語以上に、非言語によって長らく意思疎通をはかってきたことを忘れてはならない。


表情や声の質、腕の位置や服装などが、コミュニケーションにおいて大きな役割を話すことをお忘れなく。このトピックだけ教えて年間何千万円、何億円も稼ぐ教授がいるほど、ノンバーバル・コミュニケーションはビジネス界でも大きなトピックになっているのだから。