第2075冊目 FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学 ジョー・ナヴァロ (著), トニ・シアラ・ポインター (著), 西田 美緒子 (翻訳)


FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学

FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学

  • 美しさがもたらす配当は宿命ではない


それなら、誰もがジョージ・クルーニーやモデルのクリスティ・ブリンクリーのような容姿をもたなければならず、さもなければ失敗する宿命なのだろうか? どちらとも言えないというのが、その答だ。生まれつき容姿に恵まれればすばらしいことだが、ここには大きな秘密がある。つまり、私たちは誰でも外見を磨くことができるのだ。何も目を奪うほど美しくなる必要はなく、ただ身だしなみを意識し、どう見えるかに細かい気配りをするだけでいい。


身だしなみを整えて清潔を保つとともにメーキャップなどを利用して外見に気をつかい、髪にも注意を向ければ、きっと違いが出る。テレビでイメージチェンジ番組が人気なのは、外見を整えるだけで変身を遂げられるからだ。アドバイスに従うと見栄えも気分もよくなり、それがプラスの効果を生み出す。素敵に見える人は――必ずしも美貌は必要ない――自分でも気分がいいと感じ、より多くの友人をもち、周囲に認められ、手にする機会も増える。だから大切なのは、美人コンテストで優勝できるかや映画スターになれるかではなく、自分の外見や着るもの、与える印象に気を配るために、何ができるかだ。


人の外見には個人の好みで決められる要素がたくさんあるが、外見の規範は文化によるところが大きい。私がアメリカ西部で殺人事件を担当していたときには、ジーンズに糊のきいた真っ白なシャツ、ループタイ、カウボーイという身なりで仕事に行く人たちからよく話を聞いた。彼らはカッコよく決まって見えたが、それはウォール街で紺色のウールのスーツにイタリア製のシルクのネクタイがカッコよく見えるのと同じことだ。社会にはさまざまな境界線があり、私たちはそれぞれの境界内の規範に従う必要がある。人は、健康と活力と社会的適応を周囲に示すために身だしなみを整えるようプログラムされていることを、忘れてはならない。


見栄えをよくする必要性を無視するのは賢明ではないが、ビジネスの世界では技能といった別の要素で外見を超えることができ、周囲の人は外見に目もくれなくなる場合があることも覚えておこう。すばらしい態度を身につけ、誠実で親しみやすければなおさらだ。ただしこれらの点についてでさえ、周囲の人は私たちを目で見て手がかりを得ている。


身長の低さや身体障害などの不利な面は、魅力、カリスマ性、意志、前向きな考え方によって克服することができる。身長が低くても、カリスマ性があったり、人を感動させずにおかない存在感をもったいたりする人は――セレブやダンサーなど――必ず実際より身長が高いと思われている。そして超人気司会者のオプラ・ウィンフリーは、体重の問題がさんざん取り沙汰されているにもかかわらず、その暮らしぶりや個性、メッセージ、使命感、そしてそれらを身につけるための努力によって数百万人の支持を得ている。これがノンバーバルのすばらしい「美しさ」で、私たちはそれらを用いて、自分が好むところに、自分の強みや技能に、注目を集めることができる。