第2062冊目 小室淑恵の即効プレゼン術: [図解+実例]でわかる実戦テクニック42 小室 淑恵 (著)


  • 徹底的に練習をしておくことが肝心


大事なプレゼンを前に緊張するのは、人間として当然のことです。では、どうすれば緊張の中でプレゼンを成功させることができるのでしょうか。


まず、一番効果のある緊張対策は、「準備に準備を重ねる」ことです。会場の広さや聴衆の多さといったことは、実は大きな問題ではなく、「自分は準備不足ではないか」という不安がプレッシャーを大きくします。


その証拠に、前日に急遽スライドを差し替えたりすると、本番では、その部分を話す時に急にドキドキしてしまうものです。


逆に言えば、「自分はしっかり準備ができている」という自信が、緊張と解く大きなか鍵になるのです。


理想は「原稿をすべて覚えておく」


最初のうちは、原稿をすべて覚えるつもりで練習しましょう。内容が頭に入っていれば、途中でアドリブも利かせられるし、順番を入れ替えるなどの応用もできます。


武道の型のように、同じことをずっと反復練習していくのです。


修正を施したら、その都度覚え直します。最後に直した部分ほど練習が薄くならないように、集中的に補強します。


原稿は徹底的に練習して覚えて、本番には念のため手元に資料を置いておく、というぐらいがちょうどよいでしょう。


自分から「苦手」と言ってしまうのもひとつの手


自分でハードルを下げるのもひとつの方法です。「緊張しています」「人前で話すのは苦手ですが、頑張ります!」などと言って、聴き手に自分を応援する気持ちを持っていただくのです。


自分にエールを送ってくれている人が近くにいると思うと、孤立感はかなり軽減されます。


ただし、「話すことがすごく苦手で、いま壇上に立っているのも嫌なんです」といったネガティブな発言はよくありません。


入社1〜2年のプレゼン初心者なら「プレゼンはまだ下手ですが、今日のために頑張りました」という素直で前向きなアピールをすれば、「よく頑張った、今日も頑張れ」という応援の気持ちを持っていただくことも可能でしょう。早い段階で聴き手を味方につけましょう。


逆に、過剰な自信があるように見えたり、冷淡そうな印象を与えると、聴き手の空気は固くなります。


プレゼンとは、聴く側も緊張するものだということを覚えておきましょう。難しい言葉・固い表情などで聴き手を緊張させてしまうと、会場の空気が固くなり、緊張がさらに自分に返ってくるという悪循環に陥るので注意が必要です。


謙虚な気持ちでいれば、相手も味方になってくれる


謙虚な気持ちを持つことも忘れてはいけません。完璧主義から「ミスがひとつもないようにしよう」という心理状態で本番に臨むと、プレッシャーに押しつぶされてしまうことになります。


また、少しでも「説得してやろう」という態度が見え隠れすると、相手は身構えてしまいます。柔軟で謙虚な姿勢を、最初の段階で言葉に表しておきましょう。「皆さんのご意見もぜひお聴かせください」のひと言で、疎外感はずいぶん緩和されます。


プレゼンは「少しでもお客様のお役に立てれば」というスタンスで行うものです。自分のプレゼンを聴かせる、聴いてもらって当たり前、という前提では成立しません。


まずは貴重な時間を割いていただいたことに、感謝の気持ちを述べましょう。


One point

私は講演会の冒頭によく感謝の言葉を述べています。
通常――「本日は貴重なお時間をいただき、誠にありがとうございます」、夕方6時以降――「本日は貴重なプライベートの時間にもかかわらずお越しいただいて、ありがとうございます」のように、時間に応じて使い分けるのもポイントです。