第2047冊目 スタンフォードの自分を変える教室  ケリー・マクゴニガル (著), 神崎 朗子 (翻訳)


スタンフォードの自分を変える教室

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  • 「大事なこと」をやる時間帯を変える


朝5時30分、スーザンが起きて最初にすることは、キッチンのテーブルに座って仕事のメールをチェックすることでした。コーヒーを飲みながら45分もかけて返事を書き、その日の仕事の優先順位を決めます。


それから1時間かけて通勤し、大手商船会社の経理主任として10時間の勤務につきます。大変な仕事でした――紛争を調停したり、怒っている相手をなだめたり、火だねをもに消したり。夕方6時にもなればもうクタクタでしたが、残業や同僚との付き合いをせずにまっすぐ帰宅するのは気が引けます。


じつは、スーザンはコンサルティング業を始めたいと思っており、資金やスキルの面で準備を始めていました。しかし、夜になるとたいていは疲れ切っていて、ビジネスプランを練ろうと思ってもちっとも捗りません。こんな調子では、いまの仕事を辞められないのではないだろうか、とスーザンはあせりました。


そこで、スーザンは意思力をどのように使っているかを分析してみました。すると、朝のメールチェックから始まって、往復の通勤にもかなりの時間を費やしており、意思力を仕事で100%使い果たしているのは一目瞭然でした。


朝の食卓のメールをチェックするのは、まだいまの仕事についたばかりで、何とか期待を上回らければと必死だったころからの習慣です。でも、いまとなっては午前8時の出勤時にチェックすればじゅうぶん間に合います。スーザンは、自分の目標のためにエネルギーをさく時間があるとすれば、出勤前の時間しかないと気づきました。そこで、朝の最初の1時間は他の誰のためでもなく、自分のビジネスプランのために使うことに決めたのです。意思力を自分の目標のために使いたいと思っていたスーザンにとって、これは賢い行動でした。このことから、意思力に関する重要なルールが見えてきます。


もし「やる力」のチャレンジに取り組むための時間やエネルギーがないと感じているなら、自分にとって最もエネルギーがあふれている時間に設定しましょう。