第2046冊目 これだけ! ほめフレーズ 鈴木達也 (著)
- 作者: 鈴木達也
- 出版社/メーカー: すばる舎
- 発売日: 2012/06/19
- メディア: 単行本
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半数以上の人はプラス2回ほめれば納得する
55ページで、ゴールに進んでいなかったら、何でもいいから違うことをしたほうが前進できる可能性が高まる、とお伝えしました。これにメタプログラムの観点を加えると、相手に応じてより効果的な対応策を取ることができます。
実は多くの人は、1回のほめ言葉では納得しません。2〜3回聞いてから納得するのです。このような、納得するためにどの程度の確認が必要かという傾向を分類したのが、納得モードというメタプログラムです。
家の鍵が見つからなくて探していると想像してください。
カバンの中を見るけど見当たらない。玄関にも置いていない。ダイニングテーブルの上にもない。昨日着ていた上着のポケットにもない。
ありそうなところをあらかた見ても見つからなかったらどうしますか?
念のため、もう一度カバンの中を見ませんか? 同じように、玄関、ダイニングテーブル、上着のポケットも確認します。それでもやはり見つかりません。
もしかしたら、もう一度カバンの中を見るかもしれませんね。
多くの人は、ある場所に鍵が絶対にないと確信しるまで2〜3階確認します。
一度見ただけで「ここにはない」と確信する人もいます。
しばらく時間を置いてからもう一度見て「ない」と納得する人もいます。
中にはいつまで経っても納得しない人もいます。
どのようにして納得するか、確信するか、これが納得モードのメタプログラムです。
- 必要回数は人によって違う
納得モードは、人をほめる時に覚えておくととても役に立つことの一つです。NLPトレーナーのロジャー・ベイリーの調査によると、2人に1人は2〜3階の確認を経て納得するとされています。
ということは、人をほめた時に1回で相手が喜ばなければ、さらに2階ほど押すと効き目が出る可能性が高いということです。
例えばこんなふうに行います。
「あなたは本当に優しいね。今日も鈴木さんの顔色が良くないのを見て声をかけていたよね」
この時点で「ありがとうございます」と納得してくれれば、一度で納得するメタプログラムを持っているのかもしれません。
しかし、「優しいなんて、そんなことないですよ」と否定してきた場合は、あきらめずにあと2回ほど押しましょう。
「この間だって、田中さんが病欠した次の日に、大丈夫? って聞いていたよね」
「まあ、そういう時もありますけど……」
「そういうふうに人の体調に気づいてあげられるというのが、優しい人だと思うんだ」
「そうですか……ありがとうございます」
こんなふうに、2〜3階ほめられると、信じていいんだと思えるのです。2〜3回言っても反応がいまひとつの場合は、数日空けてからまた同じ内容でほめてみましょう。
期間を置いて確認することで納得する人も1〜2割いると言われていますのでやってみる価値があります。
- 難しいときは「私はそう思う」で終わらせよう
それでも信じてなさそうな反応をする人もいます。こういう人は何回ほめても信じてもらえない可能性があります。
「君は私が何回言っても納得しないと思うから、とりあえず信じておいてよ。私は本当にそう思っているからね」のように言っておきましょう。
これは冷たく突き放しているのではなく、相手が本当にそうかな? といつまでも考え続けるから開放してあげるためです。
また、「私は本当にそう思っているからね」というフレーズは、2〜3階繰り返しほめても納得しない相手にも使えるフレーズです。詳しくは117ページで述べますが、「Iメッセージ」という表現方法です。
「あなたはこうだ」というYouメッセージに対しては、相手は「それは間違っている」と否定できます。しかし、あなたが「そう思う」ことを、相手が否定することはできません。
繰り返してもほめ言葉を受け取ってもらえない人は、「私はそう思いますよ」」で終わらせましょう。そして、次の機会にトライすればよいのです。
ほめる回数についてまとめると、以下のようになります。
まず1回ほめる。
相手の反応がいまいちなら、さらに2回はどほめ続ける。
依然として反応がいまいちなら、数日後にまたほめる。
それでも反応がいまいちなら、「とりあえず信じておいて。私はそう思ってます」と伝える。
どのフレーズを使うにしても、何回もほめるかというこの観点は役立ちますので、覚えておいてください。