第2027冊目 一瞬で人に好かれる6つの秘密――なぜ、あの人の周りにだけ人が集まるのか? [単行本(ソフトカバー)] オリ・ブラフマン (著), ロム・ブラフマン (著), 林田レジリ浩文 (翻訳)


一瞬で人に好かれる6つの秘密――なぜ、あの人の周りにだけ人が集まるのか?

一瞬で人に好かれる6つの秘密――なぜ、あの人の周りにだけ人が集まるのか?

  • 高モニターの人たちは、どんな相手に対して足首を動かす


オハイオ大学の2人の心理学者、クララ・ミシェル・チェンとタニヤ・チャートランドは、高モニター人たちの行動の動機を調べてみた。


彼らは本心から多くの人と仲良くなりたいと思っているのだろうか、あるいは何らかの企みを持っているのだろうか?


問題は、動機を探るときに対象に聞いても、実際にはわからないということだ。企みを持っている人が本心を明かすとは思えない。


そこでチェンとチャートランドはうまいやり方を考えついた。


被験者が研究室にやって来ると、彼もしくは彼女は、すぐにもう1人の被験者が来ることを伝えられる。ここからが、実際の実験のスタートだ。彼らのうち3分の1には、遅れて来るあとの1人は高校生だと伝える。残るうちのひと組には大学院生だと伝え、最後のひと組には同じ心理学の授業を取る同級生と伝える。しかし実際には、遅れて来る人たちは実験の協力者だ。


遅れて来る者たちには、実験の協力者として何を言い、何をするか、細かい指示が与えられている。


たとえば、被験者と協力者が写真を見るというところでは、協力者は緊張した人がよくやるように、足を組んで足首をゆっくりと動かす、というようなことだ。


じつはこの足首を動かす、というのがこの実験の肝なのだ。


チェンとチャートランドは、被験者が協力者の動きを真似して、同じように足首を動かすかどうか見ていた。たいていの人はそれに気がつかないようだったし、足首を動かすこともなかった。被験者が同じように動かしたのは、平均するとわずか2パーセント程度だった。


その割合は、相手が高校生でも大学院生でも同級生でも変わらなかった。


被験者が高モニターの人だった場合は、ちょっと話が変わってくる。相手が高校生や大学院生だった場合こそ行動の変化の割合は1〜2パーセントと前者と同じだったが、問題は相手が同級生だったときだ。


その場合は同じように足首を動かす割合が、10倍と大きく増えたのだ。


もし彼らがそれを意識的にやっていたとしたら、同級生よりも自分より上位の立場にいる大学院生の仕草を真似たはずだ。


チェンとチャートランドは、こう解説する。


高校生と大学院生とはあまり接点がないし、今度二度と会うことはないかもしれない。しかし同級生であれば、彼らの仲間であり同胞なのだ。


さらに興味深いのは、この仕草の伝染を彼らは無意識に行っていたことだ。彼らはだいたい、そんなことを録画されているのも知らなかった。


ただ、本能的に周りの空気を感じ取り、同じように反応することで、自分が仲間と感じている相手と親密になるための行動を、無意識であってもしていたのだ。


つまり、高モニターの人たちは仲間の動作を無意識のうちに真似ているということになる。


彼らは人間関係の中心にいつも引き寄せられるように見える。それはけっして戦略的になされているのではなく、極めて自然に行われている。


もう一度ディナ・キャプランの話を聞こう。


「出会う人と気の置けない人間関係を作るのが楽しいんです。何年も前に一度しか訪れたことのない国でも、気の合う仲間がいる。そんな人が世界中にいると楽しいですよね。それが縁でビジネスにつながることがあれば、旅行に行くきっかけにもなる。出会いがさまざまなことを運んでくれて、人生が豊かになるんですよね」


マイア・アンドレイドや、キャプランのような人たちから我々が学べることは、きっとたくさんある。


人間は自分の感情に共感する人に、自然に引き寄せられるようにできている。大事な場面で人の感情に共感できれば、我々ももっとうまく人とつながれるはずだ。


そして人と人とが化学反応のようにカチッとつながるとき、クリックするときには特別な力があることも、彼らは本能的に知っている。クリックには相手の最高の面を引き出す力があるからだ。