第1974冊目 一瞬で相手を落とす! コールドリーディング入門~人に好かれる!信頼される!禁断の話術&心理術「ホワイト・コールドリーディング」 (FOREST MINI BOOK) [新書] 石井 裕之 (著)



「こいつは違う!」と思わせる褒め方


私は、アルコールを飲まないので、懇親会のような場所では、いつもウーロン茶を片手にしています。それで、会場を回っていろいろな方々にご挨拶をしていますと、会う人会う人、必ずと言っていいほど、「石井さんは、お酒は飲まれないんですか?」と聞いてきます。


「ええ、飲みません」と答えて、それで済む場合もあるのですが、たいていは「お車で来られているんですか?」「昔からお酒はやらないんですか」「健康のためですか?」などと質問が続きます。


相手の方からすれば、私にお酒の質問をするのは初めてのことなのですが、私としては、ものの二、三時間のうちに、同じ質問を何十人、何百人にされ続けるわけですから、さすがに、うんざりしてきます。


初対面の会話では、みんななんとか会話のとっかかりを見つけようとしますから、たいていの場合、同じポイントの話になってしまいがちなのです。


ウーロン茶を持って歩いている人には、「お酒の飲まれないんですか?」という質問をしてしまいがちだし、センスのいい服を着ている人には、みんなが「素敵な服ですね」と声をかけてきます。怪我をして包帯をしている人には、「どうしたんですか?」と聞きたくなるのが人情です。


もちろん、ファッションセンスを褒められて悪い気がする人はいないでしょうし、怪我の心配をしてもらえば嬉しいに決まっています。けれども、相手にとっては、初対面のそのセリフには、意外性や驚きがありません。だから印象に残らないのです。印象に残らないだけならまだしも、独創性のないセリフを何人にも言われてうんざりしてしまうことだってあるかもしれません。


前章で、二重人格ルーズの解説をしましたが、その中で、次のようなお話をしたことを覚えているでしょうか。


人から「明るい人だ」と評価されている人が、「あなたは、外向的で愛想がよく、付き合いがいいときもある半面、内向的で用心深く、引きこもってしまうこともあります」と占い師などに言われると、「ああ、この人は本当の自分の性格を分かってくれている!」と感動してしまう――という話です。


初対面の相手に、どういうふうに話題を切り出したら好印象を与えることができるかのヒントが、ここにあります。


ありきたりなセリフを口にすればするほど、あなたの初対面のインパクトは薄れて、退屈で面倒くさい人、という印象だけが残ります。


初対面の人とのファーストコンタクトのとき、心の中で、こう考えてみるのです。


「たいての人は、この人と会ったときに、どこに会話の糸口を見出すだろう?」


高級時計をしている人には、みんな「いい時計をされていますね」という褒め言葉から会話を進めようとするでしょう。とても背の高い人には、「身長が高くてかっこいいですね」と言うでしょう。


あなたは、あえてそういうところに言及しないのです。百万円はする時計のことも、日本人離れした長身のことも、話題にしないのです。


そして、それとは、まったく違ったポイントに触れるようにしてみてください。できれば、普通は褒めないような目立たないところを褒めるのです。


たとえば、ものすごくおしゃれな人に対して、おしゃれにはまったく触れず、「声がとってもあったかい感じで素敵ですね」とか、「名刺の出し方が、なんか、エネルギッシュでかっこいいですね。何かスポーツをされているんですか?」とか。


どうせおだてなのですから、実際には素敵でなくてもかまわないのです。ポイントは、「初対面でそんなことを言ってくれた人はいままでいなかったな。この人はユニークな人だな」という印象を与えることが目的なのですから。


印象に強く残るし、それ以上に、「この人は、他の人たちとは違った側面から自分のことを理解してくれるに違いない」という期待を抱かせることができるのです。


なかなか勇気のいることだと思いますし、慣れるまではちょっと難しいかもしれませんが、相手を褒めていることには違いないので、マイナスにはならないはずです。


この次の初対面の人と会うときに、ぜひ、試してみてください。なんだかゲームのようで、初めての人と会うのが、だんだん楽しくなってくるはずです。