第1933冊目 日本はこうしてオリンピックを勝ち取った! 世界を動かすプレゼン力 [単行本(ソフトカバー)] ニック・バーリー (著), 佐久間 裕美子 (翻訳)


日本はこうしてオリンピックを勝ち取った!  世界を動かすプレゼン力

日本はこうしてオリンピックを勝ち取った! 世界を動かすプレゼン力


パフォーマンス――優れたストーリーを練習を補強する


プレゼンやスピーチをすることは、舞台に立つことに似ています。つまり、どんなに大切な話をしていても、話し方が悪ければ台無しです。逆に言うと、ひとたび原稿ができあがったら、それを一〇パーセントも二〇パーセントも高めることができるのが、パフォーマンスです。


これは、実際に舞台に上がって人の前に立たなくても、同じことが言えるかもしれません。


社会に出るということは、いつも他人のジャッジされるということでもあります。自分という人間を正しくしっかりと相手に伝えるためには、好む好まざるとにかかわらず、ある程度の「アクティング(演技)」が必要になります。ですから、プレゼンの技術の多くは、実社会にも通じることを理解してください。

  • 練習があなたの個性を演出する


優れたスピーカーは、プレゼンの中で、自分という個性を発揮する術を知っています。自分の個性を活かしながら、自信を持って、快適に話をしている、そんな自分を演出する必要があります。


壇上に立ったとき、ただ棒立ちで台本を読むだけだったり、話している本人が居心地が悪そうにしていたりしたら、オーディエンスも居心地の悪い思いをします。緊張というものは、伝染するからです。ですから、慈善に練習を繰り返し、手のジェスチャーや、笑顔、アイコンタクト、それに壇上を歩く立ち居振る舞いまで、自分ができる最良のパフォーマンスを心がけましょう。


特に、笑顔はいちばん大切なパフォーマンスのひおつと言えるでしょう。さまざまなバックグラウンドを持つオーディエンスにとって、言葉やジョークは通じない場合もありますが、笑顔だけは、どんな文化でも通用する数少ないパフォーマンスです。


自然なプレゼンテーションというのは、自然な笑顔によって生まれます。自信を持った笑顔は、オーディエンスをリラックスさせるのです。


上手なプレゼンをする能力は、天性ものだと思っている人は少なくないはずです。けれども、スティーブ・ジョブズにしても、バラク・オバマ大統領にしても、プレゼンがうまいと思われている人物は、みんな練習を重ねて、そのスキルに磨きをかけてきました。


つまり言い換えれば、プレゼンは学べる技術なのです。練習を重ねることが自信につながる、という最大の例が、東京五輪招致チームのパフォーマンスだと思います。


私がコンサルタントとしてこの仕事を引き受けた時点で、プレゼンチームのメンバーたちは、アナウンサーという仕事をしている滝川クリステルさんと、海外でスピーチをする経験の多い安部首相以外、全員が外国語でのスピーチはまったくの素人だったと言えます。それが、練習を重ねることで、あれだけの堂々たるパフォーマンスを実現しました。


特に、プレゼンの終盤で竹田理事長の締めくくりのスピーチを見たとき、私は練習の成果を感じずにはいられませんでした。普段は慎み深く控えめな竹田氏が、あれだけ自信に溢れるスピーチをしたのですから。


自信というものは、聴衆の心を動かす効果があるのです。


自信があるように見えるワザはいくつもあります。


たとえば手のジェスチャーを使う、笑顔を差し挟む、オーディエンスの目を見る、会場を見回す、といったことです。ビデオの撮影がされていたり、中継がある場合は、カメラを見ることも忘れてはいけません。