第1389冊目 PRESIDENT (プレジデント) 2014年 9/2号 [雑誌]


プレジデント2014年3/31号

プレジデント2014年3/31号


なぜ、美人に「きれいだね」はタブーなのか

  • 男にはわからないこのオンナゴコロ


誰ですか。タブーだなんていい加減なことを言っているのは。せっかく頂いたお題目をいきなり否定してしまい恐縮ですが、「きれいだね」と言われて不快に思う女性なんて存在しません。誰がどう見ても間違いなく醜い、国宝級のブスの方にそう言うのは確かに逆効果ですが、大抵の場合は大丈夫。「やだぁ、そんなことないですよぉ」と一旦は否定するかもしれませんが、内心はやはり嬉しいものです。遠慮せずにバンバン「きれいだね」と言ってください。ただし、軽はずみに社内の女性に対して言うことは厳禁です。たとえリアルに美人であっても、やめておいたほうがよいでしょう。セクハラと受け取られる可能性があるからです。ほんのリップサービスのつもりであっても、受け手や周囲が不快に感じてしまったら、その瞬間にアウトです。


数字にこそ出てしませんが、言葉のセクハラ絡みで退職に追い込まれるケースは実に多い。ひと昔前は飲み会で女子社員の尻を撫でるくらいのことは当たり前だったのですが、時代は変わりました。宴会でメートルを上げて言った一言が命取りになることだってあるのです。ビジネスマンたるもの、要らぬリスクは避けるべきでしょう。


「美人は〝きれいだね〟と言われ慣れているから、言っても意味がない」。これも多くの方に共通している誤解です。多くの方が勝手にそう思っているから、誰も美人に対して「きれいだね」と言ってこない。誰も言わないところで、あなたが抜け駆けして言ってごらんなさい。面白いようにうまくいきますから。ライバル不在の漁場で好き放題の一本釣り。文字通りのブルーオーシャン戦略です。


美人は自分のことを非常に強く〝美人〟と認識しています。一日に何度も鏡を見て、「私は美しい」ということを自己確認しています。そこに自分だけでなく外部からの認識が加わるのですから、言われた本人からすれば嬉しいに決まっています。ですから美人に対して「きれいだね」と言うことは、タブーどころか間違いなく効果的です。ビビらずに相手の目を見てキチンと伝えてください。


ただ、相手によっては言い方の工夫も必要でしょう。「あれ、何か印象変わったね。いいことでもあったの?」。こう言ってみてはどうでしょう。あなたがよほど嫌われているのでない限り、悪い意味に解釈されることはありません。


つい先日、ゆくゆく口説いてやろうと思っていた女性があるパーティを欠席したので、「もしキミが来ていたら、キミがいちばんキレイだったのに……」と正直に伝えました、そして、「会えなくて残念だったから、こんど食事でも……?」と誘ったら、喜んでオーケーしてくれました。


もし何度も会う相手なら「きれいだね」だけで押すのはやめて、いろいろな表現の中に「きれいだね」と込めるとさらにいいと思います。自分がボキャ貧だと思ったら努力不足を反省しなくてはいけません。変な恋愛教則本を読んで余計な知識をつけるよりも、良質の文学作品を読んで、「きれいだね」の表現範囲を広げるための勉強をしておきまましょう。ラクしてモテようといったってそうはいきません。知識と美しい言葉を蓄積しておき、ここぞというときに使ってみればいいんです。


また、「きれいだね」と続けて、その人が努力していることを褒めるとなお効果があります。長く日記をつけていることでも、毎夏朝顔を育てていることでも何でもよい。外見だけ褒めていると、褒め言葉を連ねている薄っぺらな男になってしまいますが、内面を褒めると「あなたに興味を持っている」という気持ちが自然に伝わって距離も縮まります。