第1365冊目 総理への宿命 小泉進次郎 (一般書) [単行本] 大下英治 (著)



小泉進次郎は記者に言った。


「ぼくは、与えられた場所の中で最大限のパフォーマンスをします」


つまり、今は青年局が与えられた場所ということになる。進次郎は続けた。


「歌舞伎の世界では、脇役が一生懸命やりすぎて主役を食ったという事例がある」


「昔、有名な歌舞伎役者で、中村仲蔵という歌舞伎役者がいてね。歌舞伎の家に生まれなかったけれども、あまりにもすごいから、歌舞伎の大家に引き上げられて最終的には大成する歌舞伎役者なんですよ。でも、歌舞伎の家に生まれていないから、最後いじめに遭ってね。本当は大役、主役を与えられるはずなのに、すごい脇役を与えられるんですよ」


「そこで、選択が二つあって、こんな役をやってられるかといって、その役を蹴るか、それとも、あいつはあんな役しか与えられないで、といわれるし、(役を)蹴ればあいつは生意気だと。そこで、中村仲蔵が取った行動は、その役を受けたうえで、今までの手法とはまったく違う、革新的、斬新な役を演じて、主役がその脇役を演じた中村仲蔵に食われちゃうような演技を確立をしたんですよね」


「そこで何が言いたいのかというと、時に嫌なことがあったりね。何でもやっているときはそうじゃないですか。新聞記者のみなさんも。なんで、こんなことをやらなきゃいけない、とおもうときもあって、そこで全力を尽くすことで初めてね。例えば、雑巾がけだったり、そういうのを与えられるときもね。誰よりも、ぴかぽいかに磨いてやろうと。日本一の雑巾がけになってやる!というね。そういった思いでやんなきゃいけないと。だから青年局長を全力で、がんばります!」


「だから自分は与えられた役を腐ってやるのではなく、『この役で自分にはどういう仕事ができるか』を真剣に考えて出来うる限りのことをする。ただそれだけです」