第1361冊目 総理への宿命 小泉進次郎 (一般書) [単行本] 大下英治 (著)



進次郎は、どんな大物議員よりも演説がうまく、魅力的で、聴衆を引き付け、最高に盛り上げることができる。しだいに実力もつき人気は急上昇。それでも地方回りを嫌がらず、むしろ本数を増やしていった。各地の方言も巧みに取り入れたりして、ツカミは完璧だ。


いまや、自民党上層部からの期待や信頼は絶大。進次郎の評価は、良くなるばかりである。


進次郎も、全国津々浦々で叫んだ。


「客寄せパンダとよく言われます。いいんですよ」


地元の遊説でも、こう言った。


「わたしも一人の候補者ですよ。本当は地元にいたいけど、わたしなんかに頼らないといけない自民党、大変なんですね」


あるとき、小泉進次郎後援会幹部は、あるエピソードを聞いた。


「横須賀の人が、たまたま九州にいたらしい。その場に進次郎くんが来たんだけど、そのとき、横須賀の人を偶然見つけたら、進次郎くんが寄ってきて、こう言ったんだって。『あっ、○○さん、お元気ですか?』って、そういって話しかけてきたらしいよ。たった一回会っただけで、名前も憶えていて、言われた方は感動していたらしいよ」


そのエピソードを聞いた小泉進次郎後援会幹部は、進次郎の人に接するときの情熱のすごさを思い浮かべていた。


進次郎は、必ず両手で相手の手をぐっと握る。そして、しっかりと目を見て言う。


「よろしくお願いします」


その時の姿は、誠実そのもで、真心を持って人と接していることが伝わってくる。


進次郎の容姿をみれば、なかなかのイケメンで都会的な雰囲気を醸し出している。そんな一見クールそうな男が、熱血漢なさがらに情熱的に支持を訴えてくれば、女性でなくても心を奪われてしまうものだ。


進次郎の姿を身近で見てきた小泉進次郎後援会幹部も驚くばかりだ。


みるみるうちに、器がでかくなっていく……。まさか、ここまで成長するとは……


会うたびに、頼もしくなる男が進次郎だ。


進次郎は、自分が世の中で評価されればされるほど、逆にハングリーに、そして謙虚になり、また一歩、大きく成長しているのかもしれない。