第1356冊目 パーソナル・インパクト 「印象」を演出する、最強のプレゼン術 [単行本(ソフトカバー)] マーティン・ニューマン (著), 小西あおい


パーソナル・インパクト 「印象」を演出する、最強のプレゼン術

パーソナル・インパクト 「印象」を演出する、最強のプレゼン術


声を「出す間」と、声を「出さない間」の違い


誰かと話していて言葉が出ないとき、日本後では「えーっと…」などと言いますよね?英語でもそういう場合に、「ummmm…(あーん…」と言います。


非常に興味深い話なのですが、言語学者はこれらを「声を出した間」と呼んでいます。「間」に音をつけているわけです。


なぜ間に音をつけるかについて説明しましょう。


まず、話の途中で何かを考えるときなどに「えー」と声を出すことがありますよね。しかし、「えー」自体にはまったく言葉としての意味はありません。一般的な会話の中では許されますが、公式なスピーチの中でそういう音を出すことはご法度です。


意味のない言葉を通じた会話というものはあります。あかちゃんとその親は言葉がわからないうちから、「あばばばー」とあやしたりして実は会話しています。そして徐々に言葉を覚え、コミュニケーションがとれるように学習していくのです。


大前提として会話においては「交代に話す」ということは重要なルールです。ひとりが何かを話し終わり、静かになったら次の人がしゃべるという、「話す順番を守る」暗黙の了解があります。ですから、間に音を入れることは、「まだ私は話し終わっていない」「あなたが話すのは、ちょっと待ってください」という合図なのでう。会話の中では、特別な意味を持たないけれど、コミュニケーションのツールとしては有用です。


しかし公式な場で、プレゼンターとしてスピーチなどをしている場合、あなたの話をさえぎる相手はいないのですから、「話し終わっていない」ということを伝える必要はありません。逆に、そのような場で間に音を入れると、自信がなく、迷っているような印象を与えてしまうだけです。


間にどうしても「えー」や「あのー」を多用してしまう人は、自分が話しているときの動画を撮って、1分間に何回「えー」や「あのー」と言っているかをカウントしてみましょう。自分が思っている以上にこの言葉を使ってしまっているのではないでしょうか。まず、自分のことを認識することで、意識することができます。徐々に減らしていくトレーニングをしましょう。


このトレーニングは音声だけでもかまわないので、友達との会話をスマートフォンで録音して、分かれたあとにアイフォンで聞いて確認すれば、誰にも気づかれることなくトレーニングすることができますね。


とはいえ、普通の会話の中で「声を出した間」を使ってもまったく問題ありません。それはちゃんと考えて会話をしていることのサインでもありますから。ただ、考えたそぶりをしたなら、そのあとに話す内容には気をつけなければいけませんね(笑)。


公式な場で話すときの間は「声を出さない間」を使いましょう。声を出さない間を使うと、とても自信にあふれている印象を聴衆に与えます。頭脳明晰でコントロールできている人間に見るのです。


間をとることで、聞いている人たちに自分が話したところまでキャッチアップさせる時間を与えるのです。例えばジョークを言ったとしても、相手が消化して理解するまで待たないとスルーされてしまう可能性もあります。一流のコメディアンは必ず間をとります。


プレゼンテーションなどでのスピーチでは、こちらから一方的に話すことが多いので、特に間が重要なのです。


ただし間にも加減があります。特に高齢な方を相手に必要以上の間をとったりしたら、「バカにしている」と思われる可能性もありますし、あまり自信があり過ぎるように見られることが逆効果な場合もあります。