第1355冊目 パーソナル・インパクト 「印象」を演出する、最強のプレゼン術 [単行本(ソフトカバー)] マーティン・ニューマン (著), 小西あおい (著)


パーソナル・インパクト 「印象」を演出する、最強のプレゼン術

パーソナル・インパクト 「印象」を演出する、最強のプレゼン術


話すスピードより「間」が重要


では、話すスピードに関してお話しましょう。


日本語と英語では多少違うところがあると思いますが、長年、ジャーナリストたちに尊敬されてきた米国CBSイブニングニュースのキャスター、ウォルター・クロンカインント氏に、「なぜあなたはそんなに尊敬されるのでしょう?」と若いインタビュアーが聞いたところ、「私は1分間に125ワードしか話さないからさ」と答えたそうです。


1分間の中にどれだけ言葉を入れるのがもっとも人に安心感を与えるかを、彼はよく理解しているのです。安心感を体感できるスピードが大切です。おそらく日本語にも心地良いスピードがあることでしょう。


しかし、スピードのみに気をとられてはいけません。


重要なのは、間を有効に使ったうえでの、全体のスピード感なのです。


一般的に、早くしゃべって間があるのと、ゆっくりしゃべって間がないのは、前者のほうがよい話し方です。話すスピードだけが重要なのではなく、間を有効活用した適正なスピードで話すことのほうが重要です。


ゆっくりしゃべっても、間が有効でなければ聞きづらくなってしまいます。効果的に間を入れながら話すには、1分間に125ワードがベストであることをクロンカイント氏は経験上、知っていたのです。


あせっているときほど、早く話そうとして間をとることを忘れてしまいがちです。どんな状況でもちゃんと間をとるためには、練習あるのみです。そのやり方を紹介しましょう。


ステップ1 間をとる練習をしよう
新聞でも何でも結構です。ひとつの文章を意味が通るブロックごとに区切っていきましょう。スピーチのプロであるアナウンサーたちは放送原稿を読む前、下読みの段階で必ず、息づき兼間を入れる箇所に区切りの線を入れていきます。いくつかの文章のブロックをつくり、ブロックの区切りに間を置くのです。


では、間はどのくらいとるのが自然なのでしょうか?


ステップ2 手拍子で間をとる練習をしよう!
間をしっかりとるためには、例文を何度も読み、あなた固有の「間」を自分の体の中に吸収させる練習が必要です。例えば、間を2秒とりたい場合、最初から勘で行おうのはなかなか難しいので、このようにして練習します。


例文が、「2020年に開催されるオリンピック・パラリンピック招致を目指して、9月7日、オリンピック東京招致委員会が、アルゼンチンのブエノスアイレスで開かれたIOC総会で最終プレゼンテーションを行った。」だったら、


2020年に開催される○○(手拍子)
オリンピック・パラリンピック招致を目指して、○○(手拍子)
9月7日、オリンピック東京招致委員会が、○○(手拍子)
アルゼンチンのブエノスアイレスで開かれた ○○(手拍子)
IOC総会で最終プレゼンテーションを行った。○○(手拍子)


というように、文章の中で切れる箇所を作り、そこで手を打ちながら、間のとり方を体に覚えさせる練習をしていくのです。


最初はゆっくりとトレーニングを繰り返し、2秒の間=○○(手拍子)が自分の体にしみついたら、次は手を打たずに練習しましょう。


そうすることで、文章の意味のブロックごとに、正しい間のとり方が身についてきます。


まず、文章を読むことで練習しておけば、急に自分が何かを説明する必要に迫られても、自分の間を使うことができます。また、その間を使って次に発言する内容をまとめる時間もできるのです。間があることで、急に言われてあせっているのではなく、ちゃんと理解して話しているこも伝わります。


「間」を自分でコントロールできるようになると、大きな自信につながるのです。