第1343冊目 モテる技術 (ソフトバンク文庫) [文庫] デイビッド・コープランド (著), ロン・ルイス (著), David Copeland (著), Ron Louis (著), 大沢 章子 (翻訳)


モテる技術 (ソフトバンク文庫)

モテる技術 (ソフトバンク文庫)


三度は彼女をほめる


アメリカン・プレジデントという映画の中に、マイケル・ダグラス扮する大統領が、妻を亡くしてから初めてのデートに出かける場面がある。そのとき、大統領の娘が「靴をほめるのよ。女性は靴をほめられると弱いわ」と父親に助言する。大統領が半信半疑のまま靴をほめると、デートの相手はその言葉に感激する。そう、女性は自分の外見に目をとめられ、ほめられることが好きなのだ。何しろ彼女たちは、男性にきれいだと思われるために、かなりの時間と労力を費やしているのだ。男がそれに気がつかなくてどうするのだ?


当然のことながら、あまりにも性的のなほめ言葉はいけない。


「その服を着ていると、胸のラインがいいね。手を触れたくてうずうずするよ」


というほめ方は、あらゆる恋の可能性をなくしてしまう点では、連続殺人鬼に魅力を感じていることを告白するのとさして違わない。彼女の靴をほめてみよう。それが本当に素敵だというのもいいだろう。とにかく、何かいいところを見つけてほめるのだ。


しかし、この規則にも唯一の例外がある。その女性がかなりの美人で、しかも自分でもそれに気がついている場合、男からほめられることは珍しいことでも何でもない。実際そういう女性の中には、ほめ言葉を口にする男を、そのせいで非難する者のいるのだ。ある女性はこう言った。


「よく身体をほめられるわ。素敵だって。私が欲しいって言う男もいる。もっと別のほめ方はないの? みんな何も考えていないのね」


もしこういう女性をほめる必要性に迫られたときには、あまり人が目を向けないことに注目するといい。例を挙げよう。オスカーは、地球温暖化の講演会でシーラに出会った。シーラは驚くほどの美人だ。オスカーは、彼女の美しさの前にひざまずく男たちの一人だと見なされて終わりたくはなかった。そこでオスカーは、プレ・デートのときにこんなことを言ったのだ。


「君は本当にきれいで足りないところはない。だけど君とデートしたいと思ったのは、あの講演会で君が質問するのを聞いたときなんだ。そのときぼくはこう考えた。あの女性をもっとよく知りたい」


オスカーは、あまり皆が注目しないこと――彼女の知性――をほめようとしたのだ。しかも彼は、彼女の美しさを認めることも忘れなかった。オスカーの言葉はシーラの心に強く響き、すでに聞き飽きているほめ言葉の一つとして片付けられることはなかったのだ。