第1317冊目 モテる技術 (ソフトバンク文庫) [文庫] デイビッド・コープランド (著), ロン・ルイス (著), David Copeland (著), Ron Louis (著), 大沢 章子 (翻訳)


モテる技術 (ソフトバンク文庫)

モテる技術 (ソフトバンク文庫)


彼女に嘘をつく


嘘にも「儀礼的な嘘」や、「何もかも話す必要はない」という意味での嘘があって、これは構わない。それらは、相手に対する礼儀の一種だからだ。たとえば、彼女が新しい靴についてのあなたの感想を聞きたがり、しかしあなたは靴になど少しも関心がなければ、


「とても素敵だと思うよ」


と言っておくのが一番だ。女性が今、何を考えていたの? と尋ねるとき、彼女たちが聞きたがっているのは、君のことを考えていた、という彼女への賛辞なのである。先日の夜、二人で見た映画に娼婦役で出ていたミラ・ソルビーノの素晴らしさを思い出し、彼女とセックスできたらどんなにいいだろうと考えていたなどということは、彼女に言ってはいけない。恋人には、彼女があなたにとってどれほど大切な存在であるかを、真実味のある言葉で伝えるべきなのだ。そして、本章で著者が述べたことを守ってさえいれば、あなたはいつも、彼女の良さに目を向けることができているはずだ。


一方、破壊的な嘘というのはこれとは別物だ。妻や恋人に対して破壊的な嘘をついてしまうと、あなたは坂道を転げ落ちるように転落の道をたどり、ついには二人の関係を破綻させてしまう。そして、嘘をつき始めるとき、人はすでに心の奥底で二人の関係を壊す決心をしているのである。嘘は、その女性に「ちょっとした心遣い」を示すことが面倒になり、その苦労に見合う見返りがないとあなたが判断したときに始める。無意識のうちに、その女性にはもはやそれだけの努力をする価値がないと判断し、次の女性を探そうと決めている。誰か別の女性を探そうと決めたとき、あなたは嘘をつくようになるのだ。


しかし、あなたと親密な関係にある女性は、あなたが嘘をつくと「すぐ察知する」。心理学でもコミュニケーションの八〇パーセントは非言語的なものだとよく言われる。女性があなたの二枚舌に気づかないと思っていたら、大きな間違いなのだ。真実を隠そうとするとき、あなたの表情は微妙に変化し、仕草にも声の調子にも変化が表れる。何かがおかしい、と女性は勘づき、あなたは結局その代償を支払わされることになるのである。


著者の友人、ロニーが実際に経験した話を紹介しよう。ロニーはジョイという女性とつき合ってもう一年になっていたが、彼女が学校の関係でよその市へ行くことになった。二人は二ヵ月おきに会うことにし、二人の心が離れてしまわないように、電話やメールで連絡を取り合っていた。


ところがある日、ロニーはデイー・ディーという女性に出会い、彼女との間に強く惹かれ合うものを感じてしまった。そしてすぐに、ロニーは、デイ・ディーとベッドインしてしまう。ジョイを裏切らないことは、ロニーが彼女に誓ったことの一つであったにもかかわらず。その翌朝、ロニーはジョイからの電話で起こされた。そしてしばらく話したあと、ジョイはこう尋ねたのだ。


「昨日の夜、誰かと寝たでしょう?」


ところがロニーは、自分の犯した過ちを、嘘をつくことによってさらに大きくしてしまった。そしてそれから二ヵ月も経たないうついに、二人はひどい別れを経験することになったのである。一方ディー・ディーも、ロニーが嘘をついたことに不信感を持ち、やはりロニーと別れてしまった。ロニーは傷ついた心で一人取り残された。そしてその原因の大部分は、彼の嘘だったのである。


この場合、おそらく最初はつらいだろうが、正直に話すのが一番良かったのだ。ロニーが最初についた嘘は、ジョイを裏切らないというものだった。それが嘘になるとは彼自身知らなかったが、結局嘘になってしまった。もしもロニーがジョイを裏切らないという約束を守っていれば、さらに嘘を重ねる必要はなかったのである。


あの翌朝、ジョイに昨夜は誰かと寝たのかと尋ねられたときにも、ロニーは、真実を告げて、彼女の批判を堂々と受け止めるべきだったのだろう。ジョイは取り乱しただろうが、そうすればロニーは、どちらの女性が自分にとって大切かを決めなければならない立場に自分を追い込むことができた。遠距離恋愛の難しさをしっかり受け止め、それを解決するための的確な行動を取る機会をすることもできたのだ。


ところがロニーは嘘をつき、すべてがうまくいっていると見せかけようとし、その結果、外見を取り繕うために嘘を重ねざるを得ない状況を作り上げてしまったのだ。そして結局彼女に嘘を見破られ、それが別れにつながった。他の女性との浮気について、彼が嘘を重ねていた以上、ジョイにはロニーを信じることはできなかったのだ。


すべての女性が、ジョイほどすぐれた霊感を持っているわけではないが、多くの女性は勘が鋭い。嘘が彼女の心の奥底に芽生えさせたロニーへの不信感は、二人の関係についてのすべての希望を消し去ってしまったのだ。どんな場合でも、長い目で見ると、真実を告げてその結果を引き受ける方が、嘘をついた結果を引き受けるよりも簡単だ。さて、結局肝心なことは何だろう? それは女性に嘘はつかない、ということだ。