第1271冊目 成功する練習の法則―最高の成果を引き出す42のルール [単行本] ダグ・レモフ (著), エリカ・ウールウェイ (著), ケイティ・イェッツイ (著)


成功する練習の法則―最高の成果を引き出す42のルール

成功する練習の法則―最高の成果を引き出す42のルール


フィードバックを日常のことにする


ダグ・マッカリーは、私たちによって伝説的人物だ。〈アチーズメント・ファースト・スクールズ〉のリーダーで、貧しい家庭に生まれた生徒が並はずれた成果をあげる学校を1ダース以上担当している。ともに働く校長やマネジャーの多くは、彼のトレードマークの口癖を好んで引用する。フィードバックを与えるまえにこう言うのだ――「贈り物をあげよう。フィードバックという贈り物を」。冗談まじりにこのフレーズを使うこともあるが、聞くほうはフィードバックに備えられるし、ダグに対する敬意も感じsる。「〈ペプシ〉にいたころ上司に言われて、いまもよく覚えていることばがあります。本当に気にかけている人には建設的なフィードバックを与え、そうでない人には褒めことばしか言わないというものです」。清涼飲料水会社の元CEOで〈アイヒテン・コンサルティング〉社長のメイグリード・アイヒテンも、ニューヨーク・タイムズ紙のインタビューでそう語っている。フィードバックは、与えるのも、うまく表現するのもむずかしい。しかし、ちょっとした文化を創り上げることで、フィー祖バックを「贈り物」にする道が開ける。


これを可能にするには、特定の言いまわしを使って、フィードバックのやりとりがいつでも安心して、自然に、気軽にできるようにすることだ。皮肉には、それを実現するもっとも効果的な方法のひとつは、単純すぎて見すごされがちなこと――文の始め方だ。


エリカは最近、25を超える学校や組織の教師を対象にしたワークショップで、これを試してみた。教師たちは新旧さまざまな文化を持つ組織から集まっていて、おそらくそのなかには、フィードバックが当然のように与えられる文化と、まだ慣行になっていない文化があった。エリカは、こうしたグループがすぐに効果的なフィードバックを与えられるように、次のふたつの言いまわしを使ってはどうかと提案した。


「とてもよかったと思う点は……」
「ちがうやり方もできると思った点は……」


こんなふうに切り出せば、重要な点だからあえてフィードバックしていることが暗に伝わるし、長ったらしい詫びや前置きが不要になるので、全員が効果的に話せる。


ちなみに、エリカはこのワークショップで、ほかの参加者からもらったフィードバックのうち、とくに役立ったものを全員で共有する時間も設けた。話し合うことによって、フィードバックの価値も強調されるし、効果的なフィードバックを与えた人を褒めれば、またそんなフィードバックをしようという気になる。


フィードバックのやりとりが頻繁になれば、どんどん当たりまえに感じられるようになる。練習を始めたら、すぐにフィードバックを与えることを心がけよう。フィードバックを必要とする失敗をするのを待っていると、フィードバックが自動的に「まちがい」と結びついてします。フィードバックを当たりまえにするには、参加者が「成功」したときにとりわけ与えることだ。さらに、できるだけ与えるほうと受け取るほうの両方をやってもらう。それでフィードバックが練習に組みこまれるし、同じ人が与える側と受ける側の両方になることによって、ふたつの役割が結びついていることが実感できる。