第1238冊目  40歳からのモテる技術 [単行本(ソフトカバー)] 青木一郎 (著)


40歳からのモテる技術

40歳からのモテる技術


稀代のプレイボーイに学ぶホメる力


芸能界の歴史に残る稀代のプレイボーイといえば、私は羽賀研二さんを浮かべます。


その羽賀研二さんの悪魔的なホメ言葉を聞いたとき、「こんなセリフで口説かれたら、どんな女の人でも骨の髄までしゃぶられる……」と、背筋が凍る思いがしました。大袈裟と思われるかもしれませんが、そのくらい「ホメる」技術のキモがぎっしり詰まっていたのです。


「芸能人のプライベート公開」といったテレビ番組だったと記憶しています。男性アナウンサーと女性アナウンサー、そして羽賀研二さんの3人で話していたとき、男性アナが「うちの加藤アナ(仮名)、どうですかね?」と、世話好きのおばさんが妙齢の独身女性を勧めるような振り方をしました。すると、羽賀研二さんは、


「いやー、素敵だと思いますよ。うちの母親が加藤さんのこと見たら、『研二、こういう女の人をお嫁さんにもらいなさいよ』って言うと思いますね」


私はこれを聞いて、なぜ彼が次から次へと女性を籠絡できるのか、人気絶頂だったモデルの恋人を借金返済のためにヌードにしたり、有閑マダム相手に宝石販売業で成功できる、その理由がはっきりとわかりました。女性のホメ方があまりにも巧みなのです。女性心理、人間心理のツボをついているのです。


2千万部の大ヒット自己啓発書の著書デール・カーネギーは、人の欲求のなかで最も強いものは何か?という問いに対し、「自己重要感」だと答えています。カーネギー曰く、「人は深層心理で自分ことを大切だと思っているから、その自分を認めて重要だと扱い、褒めてほしい」と思っているそうです。


しかしこの「ホメる」というのが難しい。一歩誤ると、「見え透いた嘘」や「浮ついたお世辞」と思われてしまうからです。このためホメる技術の基本として、ホメ言葉だけでなく、その理由をきちんと相手の心に響かせる必要があります。つまり、「ホメ言葉+その理由」。


もう一つ重要な技術は「近くより、遠くでホメる」こと。直接ホメるのもいいのですが、「青木さんがあなたのことを、すごーくホメてたよ」と他人を介して伝わるほうが、インパクトは強くなります。


羽賀研二さんの先のセリフにはこの二つの技術が巧みに盛り込まれています。


「素敵ですね」で終わらず、その理由を述べているし、それも自分ではなく、母親の意見として述べている。かつ、母親が「こういう人をお嫁さんにもらいなさい」と言う状況があるとしたら、誠実な交際を経て親に紹介する場面でしょう。妙齢の女性がある意味で夢見るシーンです。つまり、「あなたは重要な存在だ」「あなたは必要な存在だ」という強烈なメッセージを一言で発信しているわけです。


こんなことを、会って間もない女性にさらりと言えてしまう。心にもないことでしょう、きっと、そして言い慣れているのでしょう、きっと。だから、悪魔的だと思うのです。件の女子アナは、「そんなことを言われたのは、初めてです!」と涙を流さんばかりに大感激していました。あぁ、やっぱり悪魔的……。