第1237冊目  ビジネスマンのためのスピーチ上手になれる本 (DO BOOKS) [単行本] 羽田 徹 (著)


ビジネスマンのためのスピーチ上手になれる本 (DO BOOKS)

ビジネスマンのためのスピーチ上手になれる本 (DO BOOKS)


ハンドパワーで相手を惹き込む


前述したメラビアンの法則では、仕草や表情などの見た目は、相手に与える印象のうち、55%も占めると書きました。


手の動きは唯一大きく相手の目線を変えられる動きになります。人は、一点を見ていると飽きてきます。


手の動きは、相手の目線を動かす役目や、集中させたり、印象を与える役目を担います。この動きが、実は非常に重要なのです。


例えば、Aの商品とBの商品を話の中で比べるとします。


Aの商品を語る時は、手のひらを大きく広げて目線よりも高い位置に置いて話します。


逆にBの商品を語る時は目線より低い位置で、手のひらを閉じて話します。


同じように話していたら、どちらの商品がよいように聞こえますか?


実際に鏡の前でやってみるとわかりますが、手のひらを大きく開いて目線より高く置いて話した方が、よい印象を与えます。


他にも、言葉だけで表現するより、身振り手振りを付けた方が、耳からの情報だけでなく目からの情報としても受け取りますので、言葉がビジュアル化され、より内容が伝わりやすくなります。


ニュースキャスターは必ずテーブルの上に手を出しています。


もちろん原稿をめくらなければいけないということもありますが、話しているときに手が下にあると、手の仕草がまったく使えなく、表現ができなくなってしまうからです。


私が番組でニュースを読んでいるときに頭を大きく動かすと違和感がありますので、顔の表情以外で唯一動かせて表現できるのは、手になるのです。


腕組みは拒否の意思表示だとか、顔の一部を触っているのは退屈な証拠などと言われていますが、それだけ手の動きで感情までもが表現されてしまうのです。


だからと言って、相手の手を見られたくないと隠していては、「手の内を見せない」と警戒されてしまいます。


また、書類や商品を指し示すときなどは、指で指すよりも、手のひらを相手に見せて示す方が印象をよくします。


犬が忠誠を誓うときに仰向けになってお腹を見せるのと同じか感覚です。


手の内側を見せることで、何も隠しているものはありませんという意思表示と共に、相手に安心感を与えるのです。


スピーチなど多くの人の前で話をするときは、更に手の動きを大きくするといいでしょう。


テレビで歌っている歌手も、情感豊かに歌い上げる時は、手振りが大きくなっていますよね?


その手の動きが、更に見ている人の感情を揺り動かすのです。声を張り上げて高音を延ばすときは手も高い位置に、低音で落ち着いた声で抑えるときは手の動きも低くなっています。


もしも、直立不動で歌っていたら、感情の度合いも変わってくるでしょう。


それだけ手の動きが相手に与える影響は絶大です。手の表情もしっかり使って相手の感情を揺さぶってください。


手を見せることで、相手も手に落ちるというわけです。