第1220冊目 一目惚れの科学 (ディスカヴァー携書) [新書] 森川 友義 (著)



声が魅力的な男性は性体験も豊富!


声に美醜があることは先に述べましたが、声を聞いただけで相手の顔は浮かんでくるものなのでしょか? 声を聞けば視覚で提供される情報、たとえば身長や体重、年齢、さらには顔の美醜や、男らしさ・女らしさといったことまでを推測することができるのでしょうか?


恋愛の視点からすると、たとえば異性に会うことなしに電話だけの会話で相手に好感を持った場合、実際にその人に会った際にやはり素敵だと思うのでしょうか? それとも声の魅力度と視覚的な魅力とはまったく別物なのでしょうか?


女性が男性のどのような声を魅力的と考えるかはおおかた一致しています。原則的に「深くて低音な」声を魅力的と判断しています。男性も女性の声については「温かみがあり、優しい声」をもっとも魅力的な声と思うようです。両者はホルモンに密接に関係していますう。「低音の声」をつくる源はテストステロンですし、女性らしい声をつくるのはエストロゲンなのです。


それでは、声だけで相手の容姿がわかるかどうかというと、それは判断できないようです。たとえばオランダ生物学者コリンズ博士は、①男性の声を女性の被験者に聞かせ、その男性がどのような体格をしているか、②年齢はいくつくらいなのか、③胸毛があるのか(男性ホルモンのテストステロンの多寡を間接的に測るための手段)、④男らしい顔立ちをしているのか、について判断させあしたが、その結果、実際の男女の体型と、女性被験者の予想とはほとんど一致しないことがわかりました。


女性は総じて低音の声を持つ男性を魅力的と判断するのですが、実際には声と男性としての魅力とは一致しませんでした。


一方、ニューヨーク州立大学のヒューズ博士のチームは、声質と、テストステロンとエストロゲンが顕著に表れる体型との関係を実験したところ、被験者の声質と体型のよさは有意な相関関係があることを報告しています。


「体型」のよさというは男性の場合はSHR(Shoulder to Hip Rataio)のことで、この比率が大きいほど、たくましいといわれていますが、声質のよさとSHRとは比例していることがわかりました。


他方、女性の場合は3章で詳しく説明したとおり、WHR(Waist to Hip Ratio)が体型のよさを表す指標です。女性の場合も、声が魅力的な人は体型もよいということがわかりました。ここでもホルモンと男女の魅力とが関係しているのです。