第1217冊目 飲みの席には這ってでも行け! 人づき合いが苦手な人のための「コミュ力」の身につけ方 [単行本(ソフトカバー)] 堀田 秀吾 (著)



なぜイケメンのつくウソを信じてしまうのか――ハロー効果


私たちは、イケメンや美女に弱いです。イケメンや美人の言うことは素敵に感じてしまうし、何気ない仕草までよい感じに見えてきてしまいます。


顔にかぎらず、見た目って大事ですよね。立派なスーツを着ている人の言うことは、ヨレヨレのシャツとジーンズを着ている人のことより素直に信じてしまいがちです。


でも、不思議なことに、そのヨレヨレのシャツとジーンズの人が差し出した名刺が某有名企業の社長と書いてあったら? あるいは東大法学部卒だとわかったら?


……今度は逆になんでもその人の言っていることを信じてしまいそうです。


私たちは、じつは見た目だけに左右されているのではないのです。その人の目立つ特徴を軸にして全体を評価しようとします。何か目立つ特徴の印象に、ほかの評価が引っ張られてしまうのを「ハロー効果」と言います。


このハロー効果を利用した、もっとも私たちになじみの深いものがCMです。旬のタレントさんを使うことによって、その人が受けている高い評価に便乗して、商品もよいものだと思わせようとしているのです。


さて、話は戻りますが、私たちがイケメンや美女のように、見た目がいい人に引きずられやすいのは、見た目が一番最初に人の目に入るものだからです。


確かに、さきほどのヨレヨレのシャツの社長さんの話のように、見た目の印象が悪くても、後ちゃんと目立つ光るものを見せればいいのです。


しかし、見た目は一瞬で判断の対象になりますが、その人の中身、肩書き、学歴、才能、聡明さなどのように見た目に現れない特徴は、相手に伝わるまでに多少時間がかかります。


ですから、見た目が最優先されてしまうのです。その意味で、人は見た目が9割というのは、ありがち間違っていないのかもしれません。


ちなみに、ハロー効果は、よいほうにも悪いほうにも働きます。目立つ特徴の印象の悪いものだと、全部が悪く評価されてしまうのです。できるだけ目立つ特徴は悪いものにしないほうがよさそうです。


イケメンや美女というのは、確かに生まれつきの顔立ちがよいという部分では、ちょっと得をしています。しかし、イケメンや美女は、必ずしも得ばかりだとはかぎりません。


たとえば、「男の人をだました女性の被告人」という設定の模擬裁判の実験では、美人ほど判断が難しくなったそうです。


結局、イケメンや美女をうらやむ必要はないし、それよりも、自分のなかでひときわ輝く特徴を持てるように努力をしていく。あたりまえのことですが、そう意識していくことのほうがずっと素敵な自分になれると思います。