第1158冊目 上達の法則―効率のよい努力を科学する (PHP新書) [新書]岡本 浩一 (著)
- 作者: 岡本浩一
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2002/05/01
- メディア: 新書
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達人と直接会う、話す
達人の作品やプレーを見るだけではなく、達人と直接言葉を交わしたり、直接観察したりする機会があれば、なるべく達人にふれる努力をするべきである。
技能とは関係ない場での達人の立ち居振る舞いからも学ぶべきものがみるかることがある。逆にそれがみつからず「ギターが上手な以外はふつうの人だな」と思うことができれば、それもそれでひとつの発見である。
将棋の強い人は、アマチュアでも、競技会の前日から、水などを飲む量を控えるようにする人が多い。競技会では、対局者の考慮時間が同じになるように対局時間を使っていることが多く、対局中に手洗いに行きたくなると、競技に不利になるからである。このようなことは、実際に上級者、超上級者を見なければわからない苦心である。
水泳選手のなかには、ふだんの生活でも椅子に座るよりはベッドや床に寝そべることにしている人がときどきいる。横になっているという姿勢を常態にして、座るための筋肉や立つための筋肉は水泳に役立たないから、つかないようにしているのである。
これほど具体的なことでなくとも、達人を見ていると、参考になることがある。
また、達人と話す機会があると、それで一気に目が開けることがある。
あるとき、東海寺の橋浦宗徹和尚と話していたとき、「座禅なんてこんなもの面白くて面白くてしょうがないでしょう!」と言われたことがある。そのおっしゃりようがいかにも面白いというおっしゃりようで、印象に残っていたのだが、何年かして、その飛び上がるような面白さを座禅に感じることができた。そのときは、あのウキウキした和尚さんの感じが記憶のなかにあるから、それを感じることができたのだなと心から思うことができた。