第1133冊目  「あいづち」は人を活かす―新しいコミュニケーションのすすめ [単行本]久保田 真弓 (著)



聞き上手は「あいづち」上手


本書では、心を開いて聴くことを前提に、「あいづち」の特性についてさまざまな視点から述べてきました。


日本人はアメリカ人よりも二倍近く「あいづち」を打っています。その背景には、話す内容よりも人間関係を重視する日本人の価値志向があります。それは相手と対等な立場で意見の対立をも図る「対話」ではなく、会話は話し手と聞き手が一緒に協力してこそ成り立つという「共話」的な話し方にも表れています。


そんな人間関係を取り持つのが「あいづち」であり、それだけで「あいづち」は、話し手と聞き手との関係によってさまざまに変化するものであると言えましょう。ですから簡単に「あいづち」上達法としてノウハウを提示することもできません。相手あってこその「あいづち」だからです。


しかし、「あいづち」の特性を知り、意図的に使うことによってある程度会話をコントロールすることも可能であることを見てきました。先手を打って「あいづち」をもっと利用するというわけです。そこで次に「あいづち」についての観察眼を磨くためのステップをご紹介しましょう。皆さんは、これらを参考にしてどのような「あいづち」を使って会話にのぞむか作戦を立ててください。こうでなければいけないという一つの解答はありませ。ただいろいろ試すことによって次第に腕、否、「あいづち」が磨かれることは確かです。


失敗は成功の元。失敗を恐れずチャレンジしてみてください。


ステップ1:「あいづち」に関する自分の癖を発見する。


先ず電話しているところでも家で家族と話している時でもいいですから、話している時に自分の声を録音してみましょう。


録音ですからイントネーションなど周辺言語以外の非言語情報は取れませんが、録画より分析が楽ですので先ずは、録音から始めましょう。


録音して自分の聞くのはちょっと恥ずかしいという方は、会話の途中で意識して自分の「あいづち」を振り返ってみましょう。友人にコメントしてもらうのもいいかもしれません。ただ意識が自分の「あいづち」にあるとついつい何を話していたのか、内容が聞きそびれてしまう時があります。ですから大事な会議の時にはあまりお勧めできません。


自分の「あいづち」を観察して気がついたことはありませんか?


あなたは、「はい、はい」と続けて言う癖がありますか? それとも「うん」ですか?


「ほほう」、「なるほど」、「やっぱり」、「そりゃそうだ」と相手の話す内容に合わせて「あいづち」を打っていますか?


相手の言いたいことがよくわかるので、相手が言葉を探して困っているような時に相手の文章や単語を引き継いで言い換えたり繰り返したりして、話に積極的に参加したり、内容を確認したりして聞いていますか?


イントネーションはどうでしょうか?


同じ「そうですか」という「あいづち」でも語尾を下げたり上げたりすることで意味が違ってきます。イントネーションにも気を配ってみましょう。


これらは、自分の癖を発見するだけでなく、ラジオなどの番組を利用してアナウンサーから学ぶこともできます。つまり普段から何気なく使っている「あいづち」について少し意識するとうことが重要なのです。