第1132冊目 すべての仕事は[逆]から考えるとうまくいく [単行本(ソフトカバー)]ロブ・ヴァン・ハーストレッチト (著), マーティン・シープバウアー (著), 細谷 功 (翻訳)
- 作者: ロブ・ヴァン・ハーストレッチト,マーティン・シープバウアー,細谷功
- 出版社/メーカー: 日本実業出版社
- 発売日: 2012/04/12
- メディア: 単行本
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具体的な目標を共通認識する
ある国の国営鉄道では、時刻表を近代化したいと考えていた。そこで、計画内容をチームに伝えるため、次のようなリストが示された。
- 乗客数を10%アップ
- 運転の定時性を78%から90%へアップ
- 運行列車の総数は増減なし
- 15のルートで乗り換え時間を短縮
- 安全性については現在の基準を遵守
- 定常的利用者の満足度アップ
問題解決では、「何をどうしたいか」がはっきりしていなければ、結論を導き出すのは至難の業である。逆にいえば、それがはっきりしていればいるほど、チームは効率的に働くことができる。
重要なのは、チーム全体が具体的で計測可能な目標に合意し、きちんとシェアすることだ。
マインドパル社の例では、経営陣のそれぞれが違った角度から、求人広告の一件を見ていた。だから、最終的に意見がばらばらに分かれてしまったのである。
最後のプレゼンで空中分解してしまわないためにも、問題解決のプロセスの早い段階、できれば最初にプロジェクトの到達点を設定し、合意しておくことはとても重要なのである。
目標設定のポイントは3つある。
- 方向性……(例)国際的な業務拡張がしたい。
- 計測可能な目標……(例)3年後には50%の事業を世界シェアにのせる。
- クライテリア(基本方針)……(例)まずは西ヨーロッパを対象とし、国際的な活動による利益は15%程度を最低ラインとする。
ひつめの「方向性」には、多かれ少なかれ、問題解決の成果が想定されている。残念なのは、ビジョンというものは、もともと漠然とした性質を持っていることだ。したがって、方向性について意見が一致したら、どの程度の改善を見すえるべきかを議論するといいだろう。
どのくらいの競争力を持ち、どの程度の持続性を視野に入れるのか。どの程度顧客重視の姿勢になりたいのか。言い換えれば、どれだけの理想を抱くべきなのか。もし利益性が低すぎると判断された場合は、それを10%増加したいのか、あるいは100%なのか? 具体的な数字がなければ、どんなに意欲的にプロジェクトに取り組んだとしても目標に届くことはない。
次に、「具体的で測定可能な目標」である。これは後の成功レベルを決める重要な要素である。10%のコスト削減目標に対して20%を成し遂げたのならこれは大成功だが、削減目標が50%とされていたら、まったく未達という結果になる。成功レベルのコンセンサスによって実際の結果が異なるわけではないにせよ、これをはっきりと設定することはとても重要なことだ。誰がいいとか誰がだめとかいうことではなく、結果に学び、次につなげるために必要なのだ。
目標をクリアできたら、その成功をどう他の組織に波及させればいいか、逆にクリアできなかったら、そのチームやプロセスは再現してはいけないという教訓を得られる(より低い目標設定で取り組み直すのもいいだろう)。何より、成功という結果がはっきりとわかれば関わった人々が報われる。これがいちばんだろう。