第1218冊目  その話し方では軽すぎます!  エグゼクティブが鍛えている『人前で話す技法』 [単行本]矢野香 (著)


その話し方では軽すぎます!  エグゼクティブが鍛えている『人前で話す技法』

その話し方では軽すぎます!  エグゼクティブが鍛えている『人前で話す技法』


「幼い言葉」「軽率な表現」を排除する


間違いではないけれど、会話の中で頻繁に使うと軽い印象になってしまう言葉があります。軽いエッセンスを作り出してしまうこれらの言葉には、二種類あります。


一つは幼い言葉です。冒頭の表現は、検討を依頼されていた案件について、取引先に回答する場合です。どちらも伝えている内容は同じです。「でも」「やっぱり」という幼い言葉を「しかし」「やはり」と直しただけです。言葉の終わりに「ね」をつけすぎるのも軽くなる原因の一つですので削除しました。


若者言葉のなごりなのか、管理職や経営者の立場になっても、こうした幼い言葉を使う方をよく見かけます。年相応、立場相応の言葉づかいに、ぜひ直していただきたいものです。


×「でも」→○「しかし」
×「やっぱり」→○「やはり」
×「ね」→○言い切る


「やっぱり」という言葉が軽いのは、間に入った「っ」のせいでもあります。促音と呼ばれる小さな「っ」が入ると、言葉は軽く聞こえてしまうのです。


例えば、「ちょっといいですか」「そうっすよね」「って、どうですか」「頑張りますっ」このように「っ」が入った言葉は、浮ついた印象ではありませんか。


促音を使わない言葉に言い換えると、次のようになります。


×「ちょっといいですか」→○「少しいいですか」
×「そうっすよね」→○「そうですよね」
×「って、どうですか」→「というのは、どうですか」
×「頑張りますっ」→「頑張ります」


ずいぶん落ち着いた印象になりませんか。若者言葉、そして、「っ」のある言葉を使用していないか、一度チェックしてみてください。


人前で話すときにどんな接続詞を使っているか、スピーチを録音し、言葉を全て書き起こすと一目瞭然です。


×「〜してみたいと思います」
○「〜します」


就職活動中の学生に講演や指導をする機会があります。そのときに自己紹介や自己PRをしていただくのですが、なんと「思っている」学生の多いことか。


×「私の長所は明るいことだと思います」
×「社会人になったらぜひ御社で働きたいと思います」


なぜ力強く断言できないのでしょう。「思っている」程度の人のことを相手は魅力的に感じるでしょうか。これを次のように言い換えると、印象はガラリと変わります。


○「私の長所は明るいことです」
○「社会人になったらぜひ御社で働きたいです」


以前、この点をブログで指摘したところ、大勢の経営者の皆さまから賛同の書き込みをいただきました。なかには、「弊社は『思います』学生は採用しない」と断言した方もいらっしゃいました。


学生すら厳しく評価されるのです。社会人が「思っている」ようではどうなるか、言わずもがなです。


アナウンサーにとっても「思います」はタブーの言葉の一つです。こんな中継リポートを見かけたら、その程度の軽いアナだと思ってください。


現場から中継をするときに、現場の入口で、「それでは入ってみたいと思います」「私もやってみたいと思います」という発言、聞いたことはありませんか。どこか自信がなさそうに聞こえます。「それでは入ります」「私もやってみます」と断言した方がいいのです。


エグゼクティブの皆さまの発言においては、いかに言い切ることができるかで信頼度が変わります。