第1175冊目  話し方にもっと自信がつく100の法則 (中経出版) [Kindle版]太田 龍樹 (著)


話し方にもっと自信がつく100の法則

話し方にもっと自信がつく100の法則


目標を細切れにすれば話し上手になれる


私は、スロースターターの人間です。小さいころにやっていた野球のしても、ボウリングにしても、そして人前で話すことも、デビュー戦は散々なものでした。


野球は三振ばかり、ボウリングもほとんどがガター。そして、人前で話すときは緊張で震えてしまい、顔が真っ赤になり、うまく言葉が出てきませんでした。


ある人が10時間で成果を出せるとすれば、私の場合、倍の20時間でようやく成果が出るタイプだと自覚しています。だからこそ、あきらめずにずっと続けることを人生のモットーとしてきました。


ディペートに出会ったのは21年前。いまでは幸運なことに、テレビに出演したり、書籍を出版したり、人前で講演をさせていただけるようになりました。長い間あきらめずに続ければ、このように良いことがふらっと舞い込んでくることがわかりました。


スロースターターの私だからこそ言えることですが、最初はうまくいかなかったからといって、あきらめないでください。


あきらめずに続けることで、ある瞬間にスパークするときがやってくるのです。


だからといて、あまりに目標を長いスパンで立てると、途中でくじけてしまいます。そういうときは、目標を細切れにして大目標に迫っていく方法が効果的です。


「まずは、500時間集中して学ぶことで専門知識をマスターし、3000時間やることで、その道のプロフェッショナルの入り口に立つということが大事です」


これは、東京大学の特別講師で税理士の草間俊介さんが著書『お金に学ぶ』で述べていることです。「専門知識をマスターする」とは、「その道、その業界の歴史的背景や使われている専門用語などがひととおり理解できている状態」と考えるとわかりやすいでしょう。一方、「プロフェッショナル」とは、「専門知識を駆使して、その道、その業界の実務をこなし、プロとして飯が食べられる状態」と言えます。


500時間は、1日10時間集中すれば、50日で到達する時間です。3000時間は、同じく1日10時間で、300日で到達する時間です。


仕事をしながら趣味や資格試験などの勉強をする場合には、1日10時間というのはむずかしいでしょうが、毎日30分続ければ、3年で547・5時間となり、専門知識をマスターできるようになります。同様に、魅力的な話し方を身につけたければ、一定の時間を使ってトレーニングを積むことです。幸いにして、日常やビジネスシーンに会話を練習するチャンスはたくさん転がっています。


到達度と時間を細切れにして考えれば、大きな目標でも着実に到達することができます。仮に途中で効果が出なくなっても、それは十分な時間を費やしているからだと考えましょう。そのうち時間量が成果に転化していくからです。


ある受講生がディペートの試合にはじめて臨んだとき、準備などに要した時間は10時間でした。しかし、ディペートの試合を10回経験したころには、同じレベルの準備が2時間でできるようになったのです。時間量が質に転化し、成果に結びついたのです。時間(量)は、けっして裏切りません。