第1088冊目  (文庫)ビジネスで差がつくマナーの心得 (サンマーク文庫) [文庫]三枝理枝子 (著)

(文庫)ビジネスで差がつくマナーの心得 (サンマーク文庫)

(文庫)ビジネスで差がつくマナーの心得 (サンマーク文庫)


いつまでも学生気分ではいられない


これからする話は甥から聞いたものです。


月末締めの慰労会、部内の飲み会でのこと。


入社二年目という甥は立場上、飲み会の幹事を任されることが多いらしいのですが、その際にどんなことを考えて行動しているのか、聞く機会がありました。


たとえば、会費。彼は慰労会の数日前や始める前に徴収するようです。これは、会の最中や終了後だとお酒も入っていて、集計ミスなどにつながるからというのが理由でしょう。


座る位置はどこにしているのか聞いてみると、「もちろん末席に座って、オーダーを取りまとめるようにしています」といった返事が返ってきました。


ほかにも、年上の人が箸をつけてから食べはじめるのはもちろん、料理や飲み物が足りているかどうか、グラスは空いていないか、どのタイミングで店員を呼ぶかなどに気を配っているそうです。


また、普段は会話する機会の内部長職の方たちと積極的にコミュニケーションをはかるため、彼らにお酌をするよう心がけているとも言っていました。顔を覚えてもらういい機会ですし、何よりタイミングを見計らうことや交渉の練習にもなると、甥は慰労会をポジティブにとらえていました。


若手社員ながら、飲み会を積極的に活用している様子がうかがえて頼もしく思ったものですが、実はさらに感心したことがあります。


入社して二年もたつと、上司の嗜好や持病などもわかってくるので、それを考慮して上司の好みのものだけではなく、野菜をオーダーするなどして食事のバランスにも気をつかっているというのです。それだけではありません。なんと痛風気味の上司にはビールを一杯にとどめ、乾杯の後は二杯目からは焼酎を勧めるとも。


そこまで上司の健康を考えている姿には私は心底驚かされました。


身内という贔屓を抜きにして、ここまで気が利く人は有能なビジネスパーソンになれると思います。