第1076冊目  FBI捜査官が教える「しぐさ」の心理学 (河出文庫) [文庫]ジョー ナヴァロ (著), マーヴィン カーリンズ (著), 西田 美緒子 (翻訳)

FBI捜査官が教える「しぐさ」の心理学 (河出文庫)

FBI捜査官が教える「しぐさ」の心理学 (河出文庫)


心のキャンパス


人は感情を隠そうとすることが多いのを忘れてはならない。そのため、入念に観察しなければ、表情を見極めるのはさらに難しくなる。そのうえ顔に現れた手がかりはすぐに消えてしまうこともあるので、気付きにくい。普段のおしゃべりなら、そんなかすかな動作はそれほど意味がないかもしれないが、大切な対話(恋人、親子、仕事関係者の間や、就職の面接など)では、わずかに思える緊張感の表れも、大きな感情の対立を示していることがある。意識を操る脳は辺縁系の感情を覆い隠そうとするだろうから、表面に浮かび出たシグナルは、どんな小さなものでも捉える必要がある。そうしたシグナルは、心の奥底にある考えや意図を、より正確に描き出しているかもしれない。


喜びを表す表情は簡単に見分けられ、世界のどこでも理解されるが、さまざまな理由から抑えられたり隠されたりするので、気付きにくいことがある。たとえばポーカーをやっているときには、手に強いカードがあっても、喜ぶ表情を見せるわけにはいかない。同僚にくわべてボーナスの額が多いことも、同僚には知られたくないだろう。私たちは、幸運を人に知られないほうがいいと思うと、幸せな気分や高ぶる気持ちをうまく隠すことができる。それでも、体に現れる不快な気持ちの手がかりと同じで、注意深く観察し、裏付けとなるわずかな行動を見極めることによって、かすかで抑えられた快適のノンバーバルも読み取れるようになる。たとえば、顔の表情からうかがえる興奮はごくわずかなもので、熟練の観察者でも心から喜んでいるのかどうかを判断するのは難しいかもしれない。ところが、足の表情がそのワクワク感を裏付ける証拠を追加してくれることがあり、快く感じているという確信が正しいとみなすのに役立つだろう。