第1071冊目  (文庫)ビジネスで差がつくマナーの心得 (サンマーク文庫) [文庫]三枝理枝子 (著)

(文庫)ビジネスで差がつくマナーの心得 (サンマーク文庫)

(文庫)ビジネスで差がつくマナーの心得 (サンマーク文庫)


あなたの注ぎ方は必ず人に見られている


飲み会ではついつい飲む量も増えがちで、飲みすぎて気分を悪くしたり、暴言を吐いたり、酔いつぶれて動けなくなってしまったり、さらには酔った勢いで失態を演じてしまい、信用をなくしてしまったというようなことがあると思います。


ですから「今日は無礼講でいこう」と言われても、気を許してはいけません。くれぐれも自分が飲みすぎてしまわないよう節度を守って、楽しいお酒の席にするよう心がけましょう。


とくに翌日も仕事がある場合、二日酔いでは話になりません。体調管理こそがお酒を飲むときのマナーです。


また、お酒の苦手な方への配慮も必須です。大前提として、相手に無理強いしないこと。一方、飲まない人も初めからソフトドリンクにするのではなくて、一杯目はビールなどを注文し、乾杯のときに唇を濡らす程度でかまいませんので、お酒につきあいましょう。


乾杯するときはグラスを合わせることはせず、目を合わせたり、会釈をしながら目の高さまで上げるといいですね。


もし相手がグラスを合わせてきたら、そっと静かに合わせ返す程度にします。薄いグラスだと割れることもありますし、そうでなくてもお酒をこぼしてしまうことがありますので注意してください。


私には昔から手先が不器用で、細かな作業が苦手な友人がいます。とくにお酒が入るとますます手先が思うように使えなくなるようでした。そんな彼のことをお酒の席でのマナーについて説明していて思い出しました。


なんども、先日、都内での飲み会で面識のない部長クラスの方にお酌をすることになったそうです。


不器用なうえ、緊張はするし飲みすぎて手元は狂っているし、案の定、ビールをグラスに注ぐ際、溢れさせてしまいました。


「おいおい」と慌てて部長はブラスを口元に持っていき飲んでくれたそうですが、一度ならまだしも、次に日本酒を注ぐときも同じように溢れさせ、こぼしてしまったそうです。


「仕事と同じだ。一度の失敗は許されるが、二度同じことをするのは学習していまいということだからな」


きつい一言を浴び、その後はお酌をさせてもらえず、落ち込んだと言っていました。


宴会はお互いがお酒を注ぐことから始まります。また、お酒を注ぐときは相手の視線が注ぎ口に集まります。それだけにお酒のスマートな注ぎ方も心得ておき、美しい所作をしなくてはなりません。


具体的には、まず「いかがですか」と一声かけましょう。それに応じて相手がグラスや杯を持ったら注いでください。ワイングラスとシャンパングラスであれば、テーブルに置いたままで注ぎます。


ワイン、シャンパン、ビール、焼酎などを瓶から直接注ぐようなときは、ラベル(銘柄)が貼ってあるほうを上にして、利き手は上から、反対の手は下から添えて、必ず両手で注ぎます。その際、ワイン、シャンパンはワインクロスを使いましょう。徳利の場合は絵や模様があるほうを上にして両手で注ぎます。


注ぐ量ですが、ワインはグラスの六割程度、シャンパンやビール、日本酒の場合は八割程度注ぎます。ただし、注ぎ口がグラスのふちに直接つかないように気をつけてください。


また、ビールを注ぐときは初めはゆっくりと、次第に勢いよく、最後は静かに泡を持ち上げる感じで注ぎます。泡だらけにならないように、かといってまったく泡がないのもいけませんので、注いだ量の二、三割くらいに相当する泡が立つのが理想です。日本酒やワインは初めは細く、次第に太く、そして最後は細く注ぎます。シャンパンは糸を引くように、細く細く注ぐと泡だらけになりません。


注ぎ終わる直前に瓶や徳利の口先を時計回りに、キュッと回して上に向けるとしずくがたれるのを防ぐことができます。


ワイン、シャンパンを飲むときは、手の温度が飲み物に伝わらないように、グラスの瓶に近い部分を指で軽く持ってください。


また、目上の人に先にお酌をさせないよう、飲むペースや相手のお酒の残り具合を常に気にかけていなくてはなりません。具体的には、グラスのお酒が残り二、三口になったら、「お注ぎします」と声をかけ、積極的にお酌をしましょう。


宴会では、基本的には手酌で飲んではいけません。飲みたければ、人に勧めると相手も気づいて、お酌をしてくれます。


お酌を断るときは「まだありますから大丈夫です。ありがとうございます」と、スマートに断ってください。


お酒が苦手で進んでいないようでしたら、「何か他の飲み物に変えましょうか」と声をかける気づかいも忘れないでくださいね。


お酒の勧め方、注ぎ方、断り方にはその人らしさが出るものです。相手をさり気なく観察して、タイミングよく薦めましょう。