第1062冊目  入社1年目の教科書 [単行本(ソフトカバー)]岩瀬 大輔 (著)

入社1年目の教科書

入社1年目の教科書

朝のあいさつはハキハキと


あいさつが大事だということは、誰もが指摘することです。

「おはようごまいます」

朝のあいさつは元気良く大きな声ではっきりと言ってください。上司や先輩が「おはよう」と言ってオフィスに入ってきたら、大きな声で「おはようございます」と返してください。

「小学生に言うような当たり前のことを言わないでくれ」とあなどらないでください。あいさつをしない人、もごもごとつぶやくだけの人が多いのが現実なのです。社会人として成長していくうえでは、当たり前のことを当たり前にできるということが、最も大切なことなのです。

ライフネット生命に少し前に入社した、おとなしい若者がいます。普段の彼は、おとなしく、人と話すときにモジモジするようなキャラクターです。

ただ、朝のあいさつは違います。事務所に入ってくるなり、誰よりも大きな声であいさつをするのです。

あいさつをされたほうも、彼の声を聞いただけで気持ちが明るくなります。いつの間にか彼のあいさつが朝の風物詩にようになって、何かの都合で彼が不在のときなどは、寂しくなってしまうほどです。

新人は、まず顔と名前を覚えてもらうことが先決です。そして、「あの人と一緒に仕事をしてみたい」と思ってもらうことも大切。そういう意味では、彼のあいさつは最高の自己紹介になっていると思います。

また、自分より偉い人、目上の人にあいさつするのは誰もが意識していることです。利害関係のない人にどれだけ誠実に接することができるか。その対応を見れば、否が応でも人間性が浮き彫りにされていしまいます。

あなたのオフィスにも、ビルの清掃をしてくれている清掃作業員の方が出入りしていると思います。会社とは関係がないからといって、その人たちに丁寧に接することを、つい忘れていませんか。

僕がよく引き合いに出すのは、就職面接のために来社する学生の資質は、受付の担当者が最もよくわかるという事例です。面接官には丁重に接するくせに、受付担当者に対して横柄な態度を取る学生がいまだにいるのです。

そういう学生はまず採用されませんが、社会人になっても考え方は何ら変わりません。社内外を問わず、社会の先輩たちが見ているのは、実はそういうところなのです。周囲に悪い印象を与えて得をすることは、何一つありません。

誰に対しても公平に接する。ハキハキしたあいさつから、そんなあなたの姿勢も伝わってくるのです。