第1045冊目  FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学 [単行本]ジョー・ナヴァロ (著), トニ・シアラ・ポインター (著), 西田 美緒子 (翻訳)

FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学

FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学

気持ち


成功のノンバーバルは、気持ちから始まる。自分がまわりからどう見えるか。自分で自分をどう見るかを、変えたいと思わなければならない。変えたいという気持ちがなくてはならない。まわりからどう見えるかは、常に自分から始まるからだ。このことを私が学生に話すと、「でも、A氏はガレージからスタートして今では億万長者ですが、ジーンズをはいて、自分のイメージなんか気にしていませんよ」と反発してくることがある。私はこう答える。「そういうサクセスストーリーの持ち主は、世界中を旅しても、きわめてまれだ――ところで、きみはそのひとりではないし、私もちがう」。地下の作業室から億万長者へと成功をとげられるようになるたぐいまれな人間は、大部分の人に通じるルールからは例外になる。実際、私がこの章を書いている間に、スティーヴ・ジョズスが病気療養のために一時的に現職を離れると発表した。それでアップル社とその株主たちは大きな心配にかられている。世界中にスティーヴ・ジョズスはひとりしかいないからだ――以上。残る私たちが成功するためには、社会のルールに従わなければならないばかりか、卓越していなければならない。

例外はルールにはなり得ない。だからあたなや私、ごく平凡な私たちは、成功しようと思えば成功のノンバーバルを磨かなければならない。どんな仕事であっても、自分のレベルを上げ、「よい」から「すばらしい」へ、さらに「並外れた」へと進むことができる。それも、ノンバーバルを用いるだけでそれが可能なのだ。

私はラスベガスのセミナーで教える機会が多く、ホテルの駐車係として働いている驚異的な男性と友だちになった。彼は一日に最低でも300ドルから500ドルの収入を得ている――もちろん、車を駐車場にいれるだけの仕事で。私はある日彼に、どうやってほかの係員よりそんなにたくさん稼いでいるのかと訊いてみてた。簡単に言うと、彼の話は次のようなものだった。

いつも靴をきれいにしておくよう気をつけています。私の靴跡がマットに残っているのを見たいお客さんはいませんからね。それから、いつも額の汗を拭いています。私の汗が車についていいと思うお客さんはいませんからね。ほかのみんなはシャツのボタンを外していますが、私はいつも、どんなに暑くても、シャツのボタンをしっかりはめるようにしています。胸毛を見たいお客さんはいませんからね。お客さんの時間のことを気にかけているとわかってもらえますからね。車を運んだら、ドアを開けながらシフトレバーとハンドルをセーム皮でひと拭きし、指紋が残らないようにします。そして最後にはいつも、「お気をつけて」と声をかけます。


この男は、顧客にとって最も重要なことに注意を払って、自分の仕事を新しいレベルに引きあげた。それは、全体としての外見、仕事ぶり、話す言葉だ。このなかに、「あなたが大事だと思っていることは、私にとっても大事です」と伝えるノンバーバルがいくつあるかを考えてほしい。客は手にチップのコインを握って待っていても、この男が車を降りながらハンドルを拭いているのに気付くと、またポケットを探ってチップを増やす。私はそんな場面を何度となく見てきた。こんなに小さな努力に、これほど大きな報酬がある。成功のノンバーバルは大企業のエリートだけのものではない。私たちみんなのものだ。礼儀正しさが私たちみんなのものであるのと同じように。

あなたは自営業だろうか? 誰かの財産を管理しているのだろうか? それとも銀行員? 弁護士? 病気の治療が専門? 保険や不動産、そのほかの商品を販売している? どんな種類の仕事であろうと、もちろん車の駐車係も含めて、常にノンバーバルを磨くことができる。それがほかの人との違いを生む。それによって「よい」から「並外れた」へと進める。自分がどう見られるかと変えたいという気持ちがあるなら、あなたのノンバーバルが変わり、周囲があなたを見る目も変わる。